大日本印刷(DNP)は2017年9月12日、コンタクトセンターでの顧客対応に人工知能(AI)を活用する業務支援サービスの開発に着手したと発表した。顧客の感情など、状況を正確に把握するのが狙い。2017年度(2018年3月期)中にDNPグループ内で顧客対応の実証実験を行い、2018年度から順次販売を開始する。
大日本印刷(DNP)は2014年から、AIを活用して人と情報デバイスの円滑な情報のやりとりを支援する「知能コミュニケーションプラットフォーム」の構築を進めており、接客案内サービスの実証実験などを行っている。
拡大画像表示
今回、知能コミュニケーションプラットフォームの中核技術である「状況認識技術」を活用した新サービスとして、コンタクトセンターの運営効率化と顧客満足度向上を図るサービスの開発に着手した。
状況認識技術とは、音声だけでなく、映像やテキスト、センサー情報も含めて、AIによるアルゴリズムによって統合的にその人の状況を分析、推定する技術である。その人の感情などが分かるので、的確な対応を図れるようになる。
これまでも、音声や顏の表情から感情を分析する技術はあったが、人間のように様々な情報から総合的に判断しているわけではないので、十分な精度がでない場合もあったという。
状況認識技術は、コンタクトセンターにとって有益であるという。まず、顧客の状況を正確に把握できるので、的確な応答や商品紹介ができる。さらに、オペレーターの顧客対応状況をスーパーバイザー(オペレーターの管理監督者)がリアルタイムに把握できるので、的確なサポートを実現できる。
新サービス開発の背景について同社は、ECサイトでの売買や店舗販売でのアフターサービスなど、顧客対応を行うコンタクトセンターの需要が高まっていることを挙げる。「こうした中、コンタクトセンターでは、オペレーター人材不足の解消、運営の効率化、顧客満足度向上などが求められており、AIの活用が期待されている」(同社)。