NECは2016年9月22日、住友電気工業の拠点間をつなぐネットワーク基盤を、NECのSDN(ソフトウェア定義型ネットワーク)で構築したと発表した。関係会社を含む国内34拠点をつなぐWANにSDNを適用した。これにより、WAN回線の総コストを約10%削減するとともに、利用可能な総帯域を約2.4倍に拡大した。
OpenFlowに対応したNECのSDNコントローラ「UNIVERGE PFシリーズ」と、OpenFlowスイッチとして動作する拠点間接続用のVPNルーター「UNIVERGE IXシリーズ」を導入した。これらを用いて、本社や営業所などの拠点間をつないだ。基幹業務や音声、テレビ会議など、アプリケーションごとの重要度や通信量に応じてネットワークの優先制御を実現している。
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重要度に応じてアプリケーションをA、B、Cの3つのクラスに分類。ギャランティ型(帯域保証型)の回線1本と、ベストエフォート型の回線2本を組み合わせ、3つの回線すべてで「クラスA>B>C」という優先制御を設定した。どの回線に対しても、すべてのアプリケーションのトラフィックを流すことができるようにした。
データセンター間は、レイヤー2ネットワークを延伸した。これにより、システム障害によってバックアップサイトを稼働する場合でも、ネットワークが変わらないため、サーバーのIPアドレスを変えずに済む。バックアップサイトの立ち上げ時や切り替え時における人為的ミスによるリスクを減らしている。
住友電工は従来、WAN回線として、信頼性の高い帯域保証型の回線を中心としたIPネットワークを、用途ごとに採用していた。このため、コストを抑えつつ十分な回線帯域を確保することが困難だった。また、800台を超える仮想サーバーでプライベートクラウドを運用しており、これらの信頼性向上とコスト低減を図るため、バックアップ/災害復旧の仕組みの改善が必要だった。