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日本IBMが「VMware on IBM Cloud」をアピール、オンプレミス同様のVMware環境をクラウドで提供
2017年10月26日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)
日本IBMは2017年10月26日、説明会を開き、同社が提供中のクラウドサービスで、米VMwareのサーバー仮想化ソフトをクラウド型で提供する「VMware on IBM Cloud」の特徴と意義を説明した。ユーザー企業からよく聞かれる疑問として、米VMwareがAWSのデータセンターから提供するクラウドサービス「VMware Cloud on AWS」との違いなどを説明した。
日本IBMが提供するVMware on IBM Cloudとは、日本を含む米IBMのグローバルなデータセンター拠点にあるベアメタルサーバー機に、米VMwareのサーバー仮想化ソフトをインストールした仮想サーバー環境を、クラウド型のサービスとして提供するものである。
![図1●VMware on IBM Cloudの概要(出所:日本IBM)](/mwimgs/5/9/600/img_593c302490d8aa70a924890fc8c4d56e202938.jpg)
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従来のベアメタル型クラウドサービスと同様に、クラウドサービスの管理画面からVMwareのサーバー仮想化ソフトを選んでベアメタルサーバーにインストールしつつ、ユーザーが保有するVMwareのライセンスを持ち込んで利用することができる。この場合、従来のベアメタル型クラウドサービスとの違いは特にない。
VMware on IBM Cloudでは、クラウドサービスらしく、ライセンスの持ち込みに加えて、VMwareのサーバー仮想化ソフトのライセンスを、SaaS型でサブスクリプション形式で利用することができる。この場合、仮想サーバー環境を月額課金や時間課金などの従量制で利用できるようになる。
オンプレミスと同様のVMware環境をクラウドで提供
サーバー仮想化ソフトの中核機能(ESXi)と運用管理ソフト(vCenter Server)だけでなく、ネットワーク仮想化機能(VMware NSX)やストレージ仮想化機能(vSAN)、その他など、VMwareが提供している任意のライセンスを組み合わせて、これをサブスクリプション型で利用できる。
ユーザーは、VMwareのミドルウェアを購入してオンプレミス環境で動作させているのと同じように、クラウド上に用意したVMwareのミドルウェアを、自由に操作できる。例えば、仮想サーバーを作成したり、削除したりできる。これにより、オンプレミスで動作している仮想サーバー上のアプリケーションをクラウドに移行するといったことが簡単にできる。
オンプレミスに構築したVMware環境とほぼ同じ環境をクラウド上で利用できるため、クラウドに移行することによるリスクを最小限に抑えることができると、日本IBMはアピールする。バックアップ機能や可用性の確保、ジョブ制御といった非機能要件を、オンプレミス環境からそのまま持ってこられるからである。
VMware Cloud on AWSとの違いを説明
説明会では、米VMwareが提供を開始したクラウドサービスで、VMware環境をマネージド型(運用サービス付き)で提供する「VMware Cloud on AWS」との違いについて説明した。オンプレミス環境と同じように使えるのはVMware on IBM Cloudであり、VMware Cloud on AWSはオンプレミスと同じようには使えない。
![図2●VMware on IBM CloudとVMware Cloud on AWSの比較(出所:日本IBM)](/mwimgs/f/e/600/img_feba310cf122d20eb8ef21ee89215886225433.jpg)
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VMware Cloud on AWSは、AWSのデータセンターにベアメタルサーバーを用意してもらい、これを使って米VMwareがユーザー向けに運営するクラウドサービスである。サービスの内容は、VMwareのミドルウェアを米VMwareによる運用管理サービス込みで提供するというもの。
VMware Cloud on AWSにおいては、ミドルウェアの管理主体は米VMwareである。ユーザー企業がミドルウェアの管理者権限を持てるわけではないという。ユーザーが保有するVMware製品のライセンスを持ち込むこともできない。