日本ヒューレット・パッカードは2017年11月21日、買収した米Nimble Storageの統合を11月1日付けで完了し、旧Nimble Storageのストレージ製品を「HPE Nimble Storage」の名称で11月13日に提供開始したと発表した。また、ストレージの稼働状況をリモートで監視/分析するクラウドサービス「InfoSight」を、Nimble StorageだけでなくHPE 3PARなど他のストレージでも利用できるようにすると発表した。
HPE Nimble Storageは、独自のキャッシュ技術で高速化を図ったSANストレージである。NVRAM(不揮発性メモリー)をライト(書き込み)キャッシュとして使い、ライトキャッシュに貯めたデータを適切な大きさでHDDやSSDに書き込む。これにより、書き込み速度を高める。この独自のキャッシュ技術を、同社は「CASL」(Cache Accelerated Sequential Layout)と呼ぶ。
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搭載するドライブの違いに応じて、HDDにデータを格納するSSD/HDDハイブリッドストレージ「CSシリーズ」と、SSDにデータを格納するオールフラッシュストレージ「AFシリーズ」を用意した。さらに、CSシリーズをベースにバックアップ/アーカイブやDR(災害復旧)用途とした「SFシリーズ」がある。
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CSシリーズでは、書き込むデータをシーケンシャル(連続的)なアクセスにする。CSシリーズではまた、SSDをリード(読み込み)キャッシュとして使う。HDDはランダムアクセスは遅いがシーケンシャルアクセスは速い。一方のAFシリーズでは、SSDがデータを消去する際のブロックサイズごとにSSDに書き込む。これにより、高速化を図るとともに、長寿命化を図る。
同じSSD/HDDハイブリッドストレージであるCSシリーズとSFシリーズの違いは、SFシリーズではバックアップ/アーカイブ用の機能を高めていることである。具体的には、データ圧縮に加えてインライン重複排除機能を付けた。さらに、シーケンシャル書き込みのスループットを高めた。バックアップ/リストアにかかる時間も短縮したという。
同社は、Nimble Storageを使ったクラウド型のブロックストレージサービス「HPE Cloud Volumes」も米国で提供している。このサービスを使えば、AWS(Amazon Web Services)またはAzureの上で動作している仮想サーバーにブロックストレージを接続できる。AWSやAzureが標準で提供しているブロックストレージよりも信頼性が高いほか、I/O性能のQoSを設定できるといったメリットがある。
クラウド型性能監視サービス「InfoSight」が3PARに対応
Nimble Storageの特徴の1つが、ストレージの稼働状況をリモートで監視/分析するクラウドサービスのInfoSightである。ユーザー企業に設置したNimble Storageの監視データを、5分おきにクラウドに転送する。こうして収集した監視データを自動で分析し、近い将来のストレージ性能や容量を予測する。問題発生の予兆を検知して通知し、解決策をアドバイスする。
InfoSightによって、サポートが必要になる問題点が、自動で分かるようになる。「サポートケースとして上がった案件の93%はInfoSightを起点としてNimble Storage側から上がったもの。さらに、案件の86%は、InfoSightが提示した解決策によって自動的にクローズした」(同社)。
同社によると、ストレージが遅いといった問題が発生する場合に、ストレージ単体の問題が原因となっているケースは46%しかない。こうした理由から同社では、VMware仮想マシンの性能情報を収集して可視化するVMVision機能をInfoSightの一機能として提供する。
VMVisionでは、ストレージを利用しているVMware仮想マシンの性能情報を可視化する。VMware vCenter Serverから仮想マシンの性能情報を取得してInfoSightに転送する仕組み。これにより、ストレージの監視画面内で仮想マシンごとのストレージI/O性能などを把握できるようになる。
2018年1月には、HPE 3PARにおいてInfoSightの一部機能を使えるようにする「HPE InfoSight for 3PAR」の提供を開始する。InfoSightは今後、データを分析して解決策をアドバイスするだけでなく、ボタンを押すだけで問題を解決するというように、運用の自動化を図る予定である。