「働き方改革」の旗印の下、RPAやAI、IoTなど多くのIT技術が企業のバックオフィスの業務効率化に貢献を始めている。アドビシステムズが提供する「Adobe Sign」は、業務プロセス改善の一端を担う電子署名ソリューションだ。Adobe Signがどのように企業の働き方改革に貢献しているのか、導入を進めているパーソルホールディングスの馬場優子氏に聞いた。
IT活用による働き方改革では、RPA(Robotics Process Atomation)やAI(人工知能)、IoT(Internet of Things)など、業務処理を自動化する最新のデジタル技術に注目が集まっている。一方で企業が進めているのが、業務フローの見直しだ。現在運用している業務プロセスそのものに無駄が多く、BPR(Business Process Rengineering)を試みる企業も増え始めている。
業務フローを電子化の枠組みに乗せるためには、ペーパーレス化は必須だ。紙をデジタルに変換することで、時間や場所の縛りを極力減らすことが可能になるなど、いわゆる「IT化」の恩恵を受けることが可能になる。しかし、ペーパーレス化の際にネックとなるのが、ビジネスフロー上のそこかしこに顔を見せる「署名」や「捺印」の存在だ。
一般的な企業では、担当者ひとりで完結する業務フローはほぼ存在しない。直属の上司や部門長、役員など責任者の許諾を得るというフローが必ず発生する。ほとんどの場合、上司、責任者、経営者の印鑑や、社判などを書類に捺印するのが慣例になっており、印鑑をもらうために時間や手間、コストが掛かっている。ひとつひとつは小さなロスでも、膨大な量を扱っている大企業では、塵も積もって山となっている。
そこで必要となってくるのが電子署名。電子署名ソリューションはいくつかのベンダー製品が市場に出回っているが、大規模で高価なものが多い。その中で比較的安価で短期導入が可能とされているのが、アドビシステムズが提供する「Adobe Sign」だ。Adobe Signを使うと、あらかじめ用意された署名やその場での手書きの署名、印鑑の捺印もシステム上で行える。これを業務フローにはめ込んでいくと、かなりの業務効率化が望めるというのだ。
IT環境整備の次の一手として
今回、取材に応じてくれたパーソルホールディングス、その母体となったのが、人材派遣会社のテンプスタッフ(現パーソル テンプスタッフ)だ。M&Aを重ねてきた同社が2013年にバイト情報誌の「an」や転職情報誌の「Duda」を発行するインテリジェンス(現パーソル キャリア)を子会社化、2016年に統一ブランド「パーソル」を導入している。
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現在、ホールディングスのグループ企業数は90社、拠点は国内447、海外43の計490拠点、従業員数は3万2千人にのぼる。インテリジェンスの買収で一気に企業規模を拡大した当時のテンプスタッフは、事業のシナジーを利かせるための新たな経営方針を打ち出し、経営体制を一体運営にし、事業基盤を再構築することにした。その流れでIT基盤も整えていくことにした。
ネットワークインフラを整備したほか、ばらばらだったバックオフィスシステムを、ワークスアプリケーションズのCOMPANYの新規導入で統合化した。人事データベースも統合し、これまでグループ会社の社員にメールを送ろうと思っても検索できず、アドレスすらわからないような状態が解消、コミュニケーションを取るための基盤も整った。
「1つの企業グループとしては、これでやっとIT環境がゼロになった状態。どこまで進化させるかが、本当のスタート」(グループIT本部GITBITA部 部長の馬場優子氏、写真1)。
そこで、次なる一手として導入を検討したのが、電子サインの導入だった。
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