トレジャーデータは2018年2月14日、主にデジタルマーケティング分野に適したクラウド型のデータ分析サービス「TREASURE CDP」を同日付けで機能強化したと発表した。機械学習を活用して見込み客をスコアリングする機能や、セキュリティ機能を追加した。
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TREASURE CDPは、ビッグデータ分析機能をクラウド型で提供するサービスである。顧客の行動データや属性データを統合して活用するCDP(Customer Data Platform)を標榜している。例えば、Webサイトや実店舗など複数の販売チャネルにおける顧客の行動ログを収集して分析し、メール配信など外部のマーケティングサービスと連携してマーケティング施策を実行できる。
同社のデータ分析サービスは元々、Webアクセスログを分析する用途や、オンライン広告の配信ログを分析する用途で使われてきた。昨今では“プライベートDMP(Data Management Platform)”に相当する機能を強化してきており、マルチチャネルの顧客データの収集・分析に使われるようになっている。
「よりエンタープライズ(大企業の企業情報システム)向けに機能を強化している」と、米Treasure Dataで最高技術責任者(CTO)を務める太田一樹氏は指摘する。機能拡張のロードマップの1つとして今回、機械学習を使った予測リードスコアリング機能と、セキュリティ機能を追加した形である。
機械学習で見込み客をスコア化してコンバージョンを予測
予測リードスコアリング機能は、コンバージョン済みのデータを教師データとして使い、機械学習を実施する。こうして、リード(見込み客)をスコア化する予測モデルを自動で生成する。スコアが高いリード(コンバージョンにつながる可能性が高いリード)から優先的にマーケティングの施策を実施できる。
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同機能はすでに、8~9社のユーザーで実績があるという。例えば、自動車メーカーは、Webサイト上の行動履歴やキャンペーンの問い合わせデータから見込み客をスコア化し、ABCDの4段階に分類している。スコアが高いAグループに注力して営業をかけることで、成果を上げている。
従来のマーケティング自動化ツールの場合、見込み客をスコア化する際に、スコア化のためのルールを手動で設定していた。例えば、「CEOから連絡が来たら1ポイントを足す」といった具合である。しかし、こうしたルールが成果にとって本当に正しいものなのかどうかが分からなかった。
もう1つの新機能として、セキュリティを高める機能を追加した。まず、顧客のデータセンターとVPN接続とTREASURE CDPをVPNで接続するサービスを開始する。これにより、データが漏洩するリスクを軽減できる。さらに、監査レポートを提供する。いつ誰がどんなデータにアクセスしたのかといったログを可視化する。
説明会では、日本国内の事業の概況も説明した。国内では、TREASURE CDPのようなクラウド型の製品だけでなく、製品のコンサルティングや導入支援、運用などをパッケージ化して課題解決(ソリューション)サービスとして提供することが求められている。このため、ユーザー企業にSIサービスを提供するSIベンダーとのパートナーシップを強化する。
2018年4月からは、デジタルマーケティングに関する学習教材も提供する。ビデオ教材、教材用スライド、事例紹介、確認テストで構成する。教材の作成にあたっては、ZERO TO ONE(ゼロトゥワン)と協業した。