ガートナー ジャパンは2018年2月27日、国内ユーザー企業を対象とした、クラウド上でのアプリケーション開発(クラウドAD)に関する調査結果を発表した。社員数2000人以上の大企業では、6割の企業がクラウド上でアプリケーションをスクラッチ開発していることが分かった。
ガートナー ジャパンの調査は、国内ユーザー企業の情報システム部門の責任者を対象に、2017年4月から6月にかけて実施した。調査では、クラウド上でのアプリケーション開発(クラウドAD)の実施状況、開発手法や言語、稼働環境、開発対象の選定基準、期待事項などについて調査し、業種や社員数規模別に分析した。
クラウド(パブリック/プライベート含む)上における、アプリケーションのスクラッチ開発の実施状況を紹介している。
今後実施予定の企業も含めて、クラウドADを推進している企業の割合は、全体で24%であり、いまだに少数派である。しかし、社員数2000人以上の大企業では、60%以上の企業が、クラウドADを推進している。社員数2000人未満の企業と比べると、突出して多い。
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対象とするアプリケーションの選定基準として、「基幹系」(26%)よりも「周辺系」(38%)が多く、「社外向け」(14%)よりも「社内向け」(56%)が多かった。大規模な基幹系ではなく比較的軽量な周辺系のアプリケーションからクラウドでの開発を試みる、あるいは、業務に影響がある社外向けの前に社内向けで試す、という傾向がある。
クラウドADを管轄する部門の基準について調査している。過半数となる58%の企業が、IT部門主導で行うべきと考えている。一方で、管轄部門がどこであるかとアプリケーション選定の「基準としない」企業も31%いる。
今後実施予定を含めてクラウドADを推進している企業に対して、クラウドADへの期待事項(複数回答)、期待どおりに実施できたこと、できなかったこと(それぞれ3つまで選択可)についても尋ねている。
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期待事項の上位6項目は、「ADのスピード」「ADのコスト削減」「他システムとの連携」「開発環境の維持負担の軽減」「ADの生産性向上」「ADの品質向上」だった。
期待どおり実施できたとする割合が50%以上に達した項目は、「他システムとの連携」「AD拠点の分散化対応」「ITスキルの低い開発者の参画」「ADプロセスの整備と標準化」の4項目だった。
期待外れの割合が期待どおりを上回った、あるいは期待どおりという回答がゼロだった項目は、「ADの品質向上」「ADのコスト削減」「ADプロセス全体での複数ツールの統合労力の低減」「ADプロセス自動化率の向上」「DevOpsの実現」の5項目だった。