日立製作所は2018年3月27日、IoT技術を活用して建設現場の生産性や安全性を高めるシステムを開発したと発表した。専用端末で作業者や建設機材の位置情報や稼働状況を把握するほか、加速度センサーや気圧センサーで作業員の転倒や危険環境への進入を把握する。今後、現場での実証を行い、2018年度上期中の商用化を目指す。
日立製作所は今回、専用端末を用いて作業者や建設機材の状況を把握するというアプローチによって、建設現場の生産性と安全性を高めるシステムを開発した。
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まず、作業者や建設機材の位置情報を、専用端末とビーコン(屋内)、GPS(屋外)を用いてリアルタイムに把握する。これにより、作業員の余剰と不足が分かる。専用端末を用いることで、携帯電話などのスマートデバイスの導入が不要となり、低コストで導入できるとしている。
ビーコンとGPSを使うことで、携帯電話の電波状況に左右されることなく、屋内・屋外を問わずに位置情報を把握できる。端末の通信には、電波障害に強い920MHz帯を使う。また、使用者による端末操作が必要ないため、作業現場における安全確保にも寄与するとしている。
ビーコンは、1次電池や外部電源を用いずに環境発電を用いて動作する製品を使う。木陰や室内照明など低照度(200ルクス程度)の明るさでも動作する。ビーコン機器の動作に必要な電力の蓄電も同時に行えるため、夜間や停電時でも一定時間動作が継続できる。
さらに、端末に内蔵した3軸加速度センサーや気圧センサーを使って、転倒などの危険動作や、熱中症環境・立入禁止区域などへの進入を速やかに察知する。これにより、安全性が高まる。危険行動を察知した場合に警報を発することにより、迅速な対応が可能になる。