「守りのIT」から「攻めのIT」へ―デジタル技術が産業構造をも変えようとする現在、政府はビジネスを変革し、新たな利益構造を生み出すためのIT投資を企業に呼び掛けている。しかし、「言うは易し」で、「守りのIT」に従事していた人材が、その技術や経験で「攻めのIT」を推進することはできない。技術の守備範囲も文化・作法もまったく異なるからだ。そこで情報処理推進機構(IPA)が、従来のIT技術者がデジタル技術を「学び直し」するための指針として出したのが「ITSS+(プラス)」。企業がデジタルの波に乗るためには、IT技術者がデジタル技術に適合しなくてはならない。
IPAが2017年4月に発表したITSS+は、いわゆるSoE(Syatems of Engagement)領域の技術を、SoR(Systems of Record)領域の技術を身に付けた技術者が「学び直し」するための指針を示したもの。旧来のSoR領域の技術を体系化したITスキル標準のスキル定義をデジタル技術に適用したものだ。
ただし、ITアーキテクトやITスペシャリストといった職種別に、必要なスキルセットと技術レベルを明示して評価や調達に活用できるようにしたITスキル標準と異なり、ITSS+はあくまでも、ITスキル標準を活用していた技術者が、デジタル時代の技術を身に付けることにに特化した学習用の指針で、評価や調達に活用することはできないとしている。
IPAは2017年4月に、ITSS+の最初の取り組みとして「データサイエンス領域」と「セキュリティ領域」を発表している。データサイエンス領域では、ビッグデータを分析して、その分析結果を活用するためのタスクと、そのために習得しておくべきスキルをまとめた。セキュリティ領域では、情報リスクストラテジ、情報セキュリティアドミニストレーション、CSIRTキュレーションなど13の専門分野を具体化、国家資格の「情報処理安全確保支援士」が想定する業務を包含したものとなっている。
そして2018年4月9日に第2弾として公開されたのが、「IoTソリューション領域」と「アジャイル領域」。
IoTソリューション領域は、必要とされる技術要素や開発プロセス等に焦点を当てて、IoTソリューション開発での役割の定義や、各ロール(役割)におけるタスクの特徴などについて説明している。
IoTは、必要とされる技術範囲は広く、一様にカバーすることは難しいため、ITSS+では対象範囲を絞って策定されている。例えば、IoTを製造業に適用させるためには、いわゆる制御系のOT(Operational Technology)視点も必要となるが、今回はIT側から見た視点でOT側に踏み込まざるを得ないタスク等を除いて、OTへの言及は行われていない。
IoTソリューション領域に求められる「役割(ロール)」として、「ビジネスストラテジスト」「アーキテクト」「データサイエンティスト」「セキュリティエンジニア」「プロジェクトマネージャ」「ネットワークスペシャリスト」「アプリケーションエンジニア」「エッジ/組込みエンジニア」「サービス運用マネージャ」という9個のロールが定義されている。
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