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データ分析用DBMSの新版「Pivotal Greenplum 5.9」、コンテナ対応とマルチクラウド対応を強化
2018年7月11日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)
Pivotalジャパンは2018年7月11日、データ分析用途のRDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)ソフトの新版「Pivotal Greenplum 5.9」を発表、同日提供を開始した。新版では、コンテナ対応やマルチクラウド対応を強化した。コンテナ対応のメリットの1つとして、データベース管理者に依頼しなくてもストアドプロシージャを自由に開発・配備できるようになった。
Pivotal Greenplumは、PostgreSQLをシェアードナッシングのMPP(超並列処理)型で動作するようにした、DWH(データウェアハウス)用途のデータベースサーバーである。サーバー機の台数を増やすスケールアウトによって性能を拡張できる。汎用のPCサーバー上で動作することから、専用のハードウェアを用いるDWHアプライアンス製品よりも安価にMPP型のDWHを構築できる。
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今回提供を開始した新版、バージョン5.9では、コンテナ対応とマルチクラウド対応を強化した。コンテナ対応の例として、DBMS側でアプリケーションロジックを動作させるストアドプロシージャであるUDF(ユーザー定義機能)を、DBA(データベース管理者)に頼まなくてもDBMSに登録できるようにした。
具体的には、Dockerコンテナを起動してホストOSからUDFの実行環境を隔離する機能「PL/Container」の正式版を搭載した。これにより、特権IDがなくてもUDFをDBMS側に配置し、これを実行できるようになった。
新版では、マルチクラウド対応も強化した。具体的には、AWS(Amazon Web Services)とGCP(Google Cloud Platform)に加えて、Azureについても、それぞれのマーケットプレイスを介してPivotal Greenplumのバイナリイメージを仮想サーバーに配備できるようにした。クラスタを構成するノード数など各種のパラメータをWeb画面で設定するだけで導入できる。手動でインストールする手間を省ける。クラスタのサイズにもよるが、20分から90分で環境を構築できるとしている。
Pivotalジャパンでは、新バージョンの提供に合わせ、販売パートナーやSI(システム構築)パートナーとの協業にも注力する。2018年7月11日付けで、日本ビジネスシステムズ(JBS)との間で協業を合意した。JBSがPivotal Greenplumを販売するとともに、JBSの関連会社であるJBSテクノロジーがSIサービスを提供する。Azure上でPivotal Greenplumを利用したデータ分析サービスも提供する。
DBMS内で地理情報や機械学習などのデータ分析機能を利用可能
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Pivotalジャパン技術統括部の松下正之氏は、新版(バージョン5.9)の強化点に加えて、昨今のPivotal Greenplumの機能面での特徴を説明した。特徴の1つは、DWHからデータ分析基盤へとデータを移すことなく、Pivotal Greenplumという1つのDWH向けDBMSの内部でデータ分析が可能なことである。
機械学習のApache MADlib、全文検索のApache Solr、地理情報システムのPostGIS(PostgreSQLの拡張モジュール))などを利用できる。さらに、ストアドプロシージャであるUDFの開発言語としてRやPythonが利用できる。
松下氏は、DBMS側で各種のデータ分析機能を利用できる例として、たった1つのSQL文で「Pivotalで勤務し、お互いを直接知っていて、指定の緯度・経度から2km未満のATMで24時間以内に200ドルを引き出した、名前がPeterもしくはPavanに似ている、人物の調査」ができることを紹介した。
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説明会には、米Pivotal SoftwareでPlatform ArcihtectureのSenior Directorを務めるピーター・クーパー(Peter Cooper)氏も登壇し、アジア太平洋地域のユーザー事例をいくつか紹介した。中国建設銀行、オーストラリアの通信企業、日本の国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の例を紹介した。NICTの事例は、地理情報や機械学習などを利用してゲリラ豪雨の予兆などを検知するシステムである。保守作業や配送作業において、洪水を見越して計画を立てられる。