KDDI総合研究所は2018年8月2日、顔がどの方向を向いていても表情を分析できる表情認識AIを開発したと発表した。処理の軽量化によって、IoTデバイス上でも単独で動作しているという。
KDDI総合研究所は今回、顔がどの方向を向いていても表情を分析できるAI技術を開発した。独自の機械学習技術を利用する。従来の技術と異なり、真横を向いている顔でも正確に表情を認識できる。これにより、表情認識技術を導入する場面を大きく拡大できるとしている。

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すでに、KDDIのコールセンターが試験的に導入済み。顧客対応時の自身の表情(笑顔)を意識することが狙い。約300人のオペレーターが実際の電話応対に利用する。コールセンターでは、手元のスマートフォンを操作して下向きになるなど、顔の向きが正面から大きく逸れる場面がある。このような現場においても97.05%という高い精度で表情を認識できた。
新技術はまた、画像解析のアルゴリズムを効率化し、従来比で3分の1以下に軽量化した。高速な計算機や通信環境がない状況下でも表情を認識できるため、小型のIoTデバイスの上で単独で動作できる。利用者の顔を含む画像をクラウドに送信する必要がない。
これらの一方、「既存の表情認識技術は、人間の顔の多くの部位を手掛かりとする解析手法を用いているため、両目がはっきりと見える正面向きの顔にしか適用できない」(同社)という。さらに、高い精度で表情を認識するために、処理能力の高いクラウドに対して顔画像を送付しなければならなかった。
KDDI総合研究所が今回開発したAI技術では、横を向いた顔の表情を認識しつつ軽量化を図るため、2段階の機械学習モデルを構築した。第1段階で、顔を検出し、顔の向き(上、下、左、右、中)を判定する。第2段階で、顔の向きごとに用意した表情認識モデルを適用する。
世界で標準的に使われている顔画像データセット「LFW」(Labeled Faces in the Wild)を用いて、今回の表情認識AIと他社技術を比較したところ、顔検出の正解率、表情認識精度のそれぞれにおいて、今回の技術が優れていたという。特に、顔の向きが45度以上で片目しか映っていない画像に対し、他社技術を大幅に上回る精度を実現できたという。