ガートナージャパンは2018年8月20日、企業のデジタルビジネスにとって何が障害になっているのかを調査した結果を発表した。複数回答で「人材不足」を挙げた企業が40%を超えるなど、人材不足が最大の障壁となった。抵抗勢力について最も多かった回答は経営トップ(CEO)で、次いで財務・経理部門、業務部門、営業部門の順となった。
ガートナージャパンは、デジタルビジネスを推進する上で何が障害となっているのかを、企業の情報システムのソーシング担当者を対象にWebで調査した。
調査では、デジタルビジネス推進の障壁を答えてもらうとともに、デジタルビジネスの推進における抵抗勢力の存在を聞いた。「抵抗勢力がある」とした回答者は全体の39%にのぼる。抵抗勢力の部門については、最も多かった回答が「経営トップ」、次いで「財務・経理部門」、「業務部門」、「営業部門」の順となった。
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経営/役員層をデジタルビジネスに関与させるためには、CIOやIT部門のリーダー1人1人が経営レベルを納得させるビジネス知識や交渉能力を持ち、社長との信頼関係を構築できるようになる必要がある。
また、他の部門の抵抗が強い場合は、その部門への対策をしっかりと行うことが重要になる。社内の抵抗勢力とどう折り合いをつけていくのかが、今後のデジタルビジネス推進の課題だとガートナージャパンは指摘する。
人材不足がデジタルビジネス推進の障壁トップ
デジタルビジネス推進の障壁について複数回答で答えてもらったところ、1位は人材不足で、412社のうち40%を超える企業が挙げた。日本の企業においてデジタルビジネスを推進するための人材を確保することが困難であることが調査に表れた。
2位には技術力不足、3位には予算が挙がった。技術力不足に関しては、長期にわたる日本経済の低迷によって、企業でのIT投資が抑制されていたことが影響しているとガートナージャパンはみる。限られたIT経験しか持たない人材が増えているため、デジタルビジネスに取り組もうとしてもIT部門内に技術力が不足しているという。
予算については、デジタルビジネスの予算化や妥当性の確保の難しさはもとより、経営陣にデジタルビジネスに投資する意向があっても、保守運用とコスト削減が業務の中心であったIT部門にとっては、新しく企画・提案する能力が欠如していることが背景にあるとガートナージャパンは分析している。