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コミュニケーションやナレッジ共有に主眼―富士通グループ16万人の働き方改革

2018年8月22日(水)河原 潤(IT Leaders編集部)

グループ16万人で「働き方改革」を推進する富士通。改革のためのIT施策の中心には、「Office 365」や「Box」といった他社クラウドサービスも取り入れたコミュニケーション/コラボレーション基盤がある。2018年8月21日に東京都内で開催された同社主催セミナーでは、同基盤の構成・特徴をはじめ、6つの方向性で臨んだ働き方改革の取り組みと、それぞれの効果などが詳しく紹介された。

写真1:富士通 オファリング推進本部 ワークスタイル変革オファリング統括部 オファリング企画部 シニアマネージャーの吉田寿也氏

 ここ数年で、企業の前提的な取り組みとなった働き方改革。富士通では、グローバル・グループ企業含む全社16万人がアクセスするICT基盤の統一から始まった。今から8年前、2010年のことである。

 自社事例として説明を行ったのは、富士通 オファリング推進本部 ワークスタイル変革オファリング統括部 オファリング企画部でシニアマネージャーを努める吉田寿也氏だ(写真1)。吉田氏は「働き方改革による生産性向上を目指すにあたって、方向性を明確にしたうえで整備・拡大していった」と述べ、その方向性として、①コミュニケーション強化、②グローバルでの“知”の共有、③時間や場所にとらわれない働き方、④セキュリティ強化、⑤人事労務対策、⑥作業環境/ファシリティの6つを挙げた。

ICT施策の中核としてコミュニケーション/コラボレーション基盤を確立

 ICTによる働き方改革の推進で中核に据えられたコミュニケーション/コラボレーション基盤。①コミュニケーション強化については、従業員各人の電話/携帯電話環境をPC/スマートフォンに統一し、プレゼンス(在席/離席、会議中、外出など)が確認できるようにした。連絡を取りたい相手のプレゼンスを見て、メール、IMメッセージやWeb会議など適した手段を選んでコミュニケーションを取ることが可能になった。その際、「込み入った内容などでは、Office 365で資料を参照できるようにもしている」(吉田氏)という。

 ここではコンテンツの一元管理も目指した。吉田氏によると、社内で送信する同報メールでファイルを添付する際に膨大な重複データが発生したり、誤った添付による情報漏洩リスクが生じたりといった課題があり、その解決のためにクラウドストレージサービスのBoxを活用したコンテンツ一元管理の仕組みが構築された。メール添付の代わりにBoxにコンテンツが一元的に格納・管理されるようになり(写真2)、ファイルストレージの80%を占めていたとされる重複が排除されたうえ、アクセスコントロールによってセキュリティも強化されている。

写真2:Boxの活用でコンテンツの一元管理とセキュリティの強化を実現
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 Boxの活用は、その操作性を生かしてコラボレーションの環境も改善することとなった。従業員はBoxで「関係者フォルダ」を作成しメンバーを招待することで、そのフォルダにさまざまなナレッジが蓄積されていく。「スピーディーな共創の場づくりを可能にした。これによってメールを何通も送り合うような文化を改革できた」(吉田氏)という(写真3)。

写真3:スピーディーな共創の場づくり
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 コミュニケーション強化による効果として、Web会議の利用率が全従業員の97%、利用回数が年間200万回に達し、他の事業所に出向くなどでかかっていた出張旅費が20%削減されたという。また、緊急のトラブルにも迅速に対応できるようになったとしている。

グローバルでの“知”の共有、場所や時間にとらわれない働き方

 ②グローバルでの“知”の共有では、従業員約11万人に「個人ポータル」を用意し、個人/チーム/部門/全社で、職掌や現在携わる業務、スキルセットなどの従業員個々の情報をナレッジとして共有できるようにした。例えば、新規プロジェクトを立ち上げる際に検索をかけて適任者を探し出し、その場で連絡を行うことができる。

 また、さまざまなテーマの社内SNSによって、組織の枠を超えてグローバルで従業員同士がつながり、個人が持つ知見やノウハウなどの暗黙知での共有を実現している。吉田氏によると、SNSのコミュニティ数は2018年1月時点で実に5300を数え、その中から特許出願に至ったアイデアが20件あるという。

 また、③時間や場所にとらわれない働き方④セキュリティ強化では、軽量シンクライアントの導入では、富士通のテクノロジー面における強みを生かした取り組みがなされた。例えば、従業員が持ち運んでいた重量約1.7kg、厚さ約27mmのノートPCを、約800g、15.5mmの軽量シンクライアントデバイスに切り替えたり(写真4)、デバイスごとの特性に合わせて、指紋認証、虹彩認証、手のひら静脈認証など、同社が市場での実績を豊富に持つ最新の生体認証システムを採用するといった施策だ。

写真4:携行性にすぐれる軽量シンクライアントデバイスを採用
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