[市場動向]

マイクロサービス同士の通信の課題をプロキシで解消、日本IBMがIstioのメリットを説明

カオスエンジニアリングやフォールトインジェクションにも有効

2018年8月24日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)

日本IBMは2018年8月24日、説明会を開き、コンテナ技術を用いて開発したマイクロサービス同士のネットワーク接続を管理する基盤ソフト「Istio」について説明した。Istioは同社が開発に関わっているオープンソースソフトウェアであり、同年7月31日にバージョン1.0をリリースした。

写真1:日本IBM IBMクラウド事業本部 テクニカル・セールス エクゼクティブ・テクニカル・スペシャリスト 樽澤広亨氏写真1:日本IBM IBMクラウド事業本部 テクニカル・セールス エクゼクティブ・テクニカル・スペシャリスト 樽澤広亨氏
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 日本IBMの「Istio(イスティオ)」は、マイクロサービス同士のネットワーク接続を管理するオープンソースの基盤ソフトウェアである。

 マイクロサービスと外部の通信を仲介するプロキシサーバー「Envoy」を個々のマイクロサービスの手前に配置するという仕組みによって、マイクロサービス間の通信を把握し、これを制御する。

 Dockerコンテナのオーケストレーション/管理ソフトウェア「Kubernetes」の環境で利用できる。Kubernetesがコンテナを管理・制御する単位で、1つまたは複数のコンテナをグループ化した単位であるPodの中に、マイクロサービスのコンテナとプロキシサーバーのEnvoyが入る形になる。

 Istioを開発・提供する背景について同社は、多数のマイクロサービスを組み合わせたシステムにおいては、マイクロサービス同士の通信が複雑になり、通信の経路制御や負荷分散といったネットワーク設計が煩雑になることを挙げている。「個々のマイクロサービスの手前にプロキシサーバーを配置し、これを一元管理することで、これらの課題を解消する」(同社)。

 また、プロキシサーバーはマイクロサービスとは独立して動作する別サーバーであるため、既存のマイクロサービスに変更を加えることなく利用できる。日本IBMによると、類似の機能を提供するソフトウェアの多くは、プログラムにリンクするAPIライブラリとして実装してあり、ソースコードの書き換えが発生するという。

 なお、Istioの前提となる、マイクロサービス型でアプリケーションを開発することのメリットは、メンテナンスが柔軟になることである。小さな個々のサービスを組み合わせることで大きな機能を実現しているため、小さな個々のサービス単位で更新などのメンテナンスができる。機能全体を一度に停止させることなく機能をアップデートできる。

●Next:Istioがもたらす3つのメリット

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IBM / Istio / カオスエンジニアリング / フォールトインジェクション / コンテナ / マイクロサービス / Kubernetes

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