[市場動向]

キヤノンITSが画像認識AI基盤「LaiGHT」を開発、実証ではカメラ映像からイチゴの収穫量を予測

2018年8月30日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)

キヤノンITソリューションズは2018年8月30日、社内で利用するAI基盤「LaiGHT」を開発したと発表した。すでに、カメラ映像からイチゴの収穫量を予測する実証実験に取り組んでいる。今後は、同技術をユーザー企業で活用するための環境を整備していく。

 キヤノンITソリューションズは、社内で利用するAI基盤「LaiGHT」を開発した。少数のAIエンジニアが多くのAIアプリケーションを迅速かつ効率的に開発するための仕組みとして開発。学習データの管理機能、計算リソースの管理機能、学習結果の視覚化機能など、AIエンジニアがこれまで個々に実施していた一連の作業を支援し、開発を効率化する機能を備える。

図1:カメラ映像を利用するAI基盤「LaiGHT」を開発した(出典:キヤノンITソリューションズ)図1:カメラ映像を利用するAI基盤「LaiGHT」を開発した(出典:キヤノンITソリューションズ)
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 開発の背景について同社は、AIアプリケーションの開発者が足りておらず、AIアプリケーションの開発環境も整備されていないことを挙げる。「大量のデータと計算機リソースの管理、繰り返し行う学習/評価結果の記録管理など、多岐にわたる煩雑な作業が必要になる。こうした課題を解消するためにLaiGHTを開発した」(同社)。

 現在では、LaiGHTを基盤に、キヤノンのネットワークカメラを活用したスマート農業サービスの開発プロジェクトを、九州大学大学院農学研究院岡安崇史准教授と連携して行っている。また、農林水産省が進める「革新的技術開発・緊急展開事業(うち地域戦略プロジェクト)実証研究型」を利用して、開発した技術の普及を目指した実証も推進している。

 実証の例として、カメラの映像からイチゴの生育状況を数値化するAIアプリケーションや、生育状況と温度、湿度などの環境データをもとにイチゴの未来の収穫量を予測するAIアプリケーションなどがある。

 この実証では、ビニールハウスに取り付けたネットワークカメラで定点を定期撮影する。撮影画像を画像解析クラウドに転送し、LaiGHTが管理する実行基盤によって生育状況を数値化する。画像認識AIが着花数・着果数・果実成熟度・葉面積情報など生育に関する情報を自動で抽出し、収量予測AIが収穫適期と収穫量を予測する。生産者は、スマートフォンなどの端末から解析結果を確認し、データを活用して農作業や出荷計画を判断する。

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