SAPジャパンは2018年9月25日、ERP(基幹業務システム)ソフト「SAP S/4HANA」の情報をアップデートする説明会を開いた。同年5月に物流システムを「SAP S/4HANA Cloud」で刷新したテルモが登壇した。SAPジャパンは同年9月21日に提供を開始した新版「SAP S/4HANA 1809」について説明した。
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SAPジャパンの説明会では、テルモでCIO(最高情報責任者)を務める竹内克也氏が登壇し、2015年から着手しているグローバル基幹システムの刷新事例について説明した。
直近では、アジアの物流システムを刷新し、2016年8月のキックオフから21カ月を経て、2018年5月にSAP S/4HANA Cloudで稼働させた。
これまで稼働していたテルモの物流システムは、1980年代に構築したものである。テルモでは、このシステムの再構築に2度挑戦して2度とも失敗しており、社内のIT部門が弱体化していた。この状況を変えようと2015年からグローバル基幹システムの刷新に取り掛かり、今回、アジアの物流システムの刷新に成功した。
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新版「S/4HANA 1809」で機械学習の活用範囲を拡大
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説明会では、SAPジャパンが、SAP S/4HANAの進化の道程を説明。S/4HANAの最初のリリースは、2015年11月に提供を開始した「SAP S/4HANA, on-premise edition 1511」である。その後、2016年10月の「1610」、2017年9月の「1709」、2018年9月の「1809」と、3回のバージョンアップを経ている。
直近の機能強化の1つが、機械学習の活用や、自然言語による対話で必要な情報を得るためのデジタルアシスタント機能(Co-Pilot)といった、AIを用いた機能群である。2018年5月に開催したプライベートイベント「SAPPHIRE NOW 2018」では、「進化し学習し続けるIT」を標榜したコンセプト「インテリジェントエンタープライズ」をうたっている。
2018年9月21日に提供を開始した最新版のS/4HANA 1809では、機械学習の適用範囲やデジタルアシスタント機能の適用範囲を広げている。機械学習では、新たに、未契約発注品目の監視、契約締結が妥当な品目の提案、見積変換予測、入庫請求仮勘定の照合、などに利用できるようになった。デジタルアシスタント機能のCo-Pilotでは、自然言語(英語)によるカタログ品目の検索などができるようになった。
SAPジャパンはパートナーとの協業にも注力している。特に、海外のコンサルタントを活用できるように、グローバルサービスパートナーとの協業を推進している。また、コンサルタントが不足している問題に対しては、認定コンサルタントを増やしている。この1年で認定コンサルタントを1500人輩出しており、2018年末までに2500人に増やす意向である。