日本オラクルは2018年11月14日、説明会を開き、同社が提供するクラウド型ERP(統合基幹業務システム)ソフトの最新動向を説明した。米国ではすでに提供済みで、国内でも提供を予定する機能として、機械学習などのAI機能を取り込んでいることをアピールした。定常作業を自動化したり、チャットボットで経費を処理したりできるようになる。
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日本オラクルによると、クラウド(SaaS)型ERPアプリケーション「Oracle ERP Cloud」のユーザーは5500社以上で、「NetSuite」を合わせれば2万社以上が同社のクラウドERPを利用している。個々の業務単位でクラウドERPを適用するケースはすでに一般的で、「今後は基幹業務を含め、すべての業務をクラウドERPでまかなうようになる」(同社)としている。
オンプレミス型と比べたクラウドERPのメリットの1つとして同社は、マシンラーニング(機械学習)などの新機能を簡単に取り込める点を挙げる。「オンプレミスのERPは5年に1度しかアップデートしない。クラウド型ERPなら四半期ごとに機能をアップデートする」(日本オラクル 常務執行役員クラウド・アプリケーション事業統括ERP/EPMクラウド事業本部長の桐生卓氏、写真1)。
例えば、業務アプリケーションにAIを組み込むことで、財務部門ではExcelレポートの作成などに要している時間を30%削減できるという。SCM(サプライチェーン管理)では、ブロックチェーンなどの活用によって、商品出荷の追跡などに要している時間を65%削減できるとしている(図1)。
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実際に、直近の機能強化点として、機械学習などのAI機能を取り込んだ。データ分析の機能をアプリケーションに組み込むとともに、チャットボットを組み込んで会話によってデータの入力などを行えるようにした。このほか、照合処理を自動化したり、データ分析によって計画や予測に活用するといった用途にAIを利用している。
会計機能にAIを取り込んだ例が、Dynamic Discounting(ダイナミックディスカウンティング)機能である。請求書に早期支払いによる割引が設定されているときに、銀行の金利と照らし合わせて、どのタイミングで支払うのが最適なのかを提案する。
経費精算に使えるチャットボット機能が、Expenses Chatbotである。スマートフォンのカメラでレシートを撮影すると、OCR(光学文字認識)で値を読み取り、経費精算の項目をAIで自動的に分類する。個々の申請が会社のルールに適合しているかどうかも判断する。