[市場動向]

富士通と高知県、農作物の生産量をAIで最長3週間先まで予測する実験を開始

2018年12月4日(火)IT Leaders編集部

富士通は2018年12月3日、高知県、Nextremerと共同で、生産者の安定的な農作物の生産と取引の実現に向け、農作物の生育から出荷までのデータを一元管理するとともに、AIを活用して最長3週間先の生産量を予測する「高知県園芸品生産予測システム」を開発したと発表した。2019年1月下旬から実証を開始する。

 高知県園芸品生産予測システムにより、高知県は農産物の出荷情報の迅速なフィードバックや、生産性や質の向上に向けたきめ細かい営農指導を生産者に対して行えるようになる。また、生産量を高精度に予測することで、大口予約相対取引の増加につながることも期待できる。高知県では、同検証結果を踏まえ、2019年3月からシステムの運用を開始する。

 高知県では、農業協同組合の各集出荷場からの農作物の出荷時に、機械で等階級を自動判別するとともに、長さや太さ、曲がりなどの品質データを記録し、翌日以降に出荷データとして生産者に紙で手渡しているが、農作物の生産過程に活かせていなかった。また、販売面でも、近年増加傾向にある量販店などの大口予約相対取引において、最低でも2~3週間先の出荷量を把握できないと有利な条件で取引できないという課題があった。

 これらの課題を解決し、生産者の安定的な生産と取引を支援するため、3者はハウス内の環境データや気象データを含む生育データおよび出荷データを一元管理し、AIで最長3週間先の生産量を予測する高知県園芸品生産予測システムを共同開発し、同システムの実証を開始することにした。

 高知県高知市・安芸市・芸西村の各生産者を対象に行う。対象データは、ハウス内の環境データ(温度・湿度など)、気象データ(気温・降水量など)、生育データ(着花数・着果数など)、出荷データ(農作物の荷受重量・正味重量など)、品質データ(等階級・長さや太さ・曲がりなど)になる。対象農作物はナス・キュウリ・ピーマンだ。

 実証では、生産者がハウスで生産するナス・キュウリ・ピーマンの生育データや環境データ、気象データ、および集出荷場に持ち込んだ農作物の品質データと出荷データを高知県園芸品生産予測システムで一元管理し、営農指導への活用などにおける有効性を検証する。

 生産者は最短で出荷翌日に、PC・タブレット・スマートフォンなどから同システムで管理する出荷情報を確認でき、品目ごとに組織される生産者部会単位でも閲覧可能になる。これにより、生産者における生育管理や収穫時期の調整などへの有効性を検証する。

 生産者がハウスで栽培するナスの生育データ(着果数など)とハウス内の環境データおよび気象データ(予報)をNextremerが開発した生産予測AIに教師データとして学習させ、最大3週間先の収穫量を予測する。キュウリ・ピーマンについても順次生産予測を開始する予定だという。

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