[市場動向]

ジュニパーが説くネットワーク自律運用の現状、運用項目ごとに管理ロボットが動作

2018年12月12日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)

ジュニパーネットワークスは2018年12月12日、説明会を開き、ネットワークの自律運用に関する同社の取り組みを説明した。同社は「SELF-DRIVING NETWORK」(セルフドライビングネットワーク)と呼ぶビジョンを掲げ、ネットワーク機器の監視データを分析して自律的にアクションを起こすソフトウェアロボットを運用項目ごとに用意するスタイルを提唱している。すでにいくつかの運用管理ソフトで自律型の運用を実現している。

写真1:米Juniper Networksでエンジニアリング担当最高技術責任者を務めるKireeti Kompella(キリーティ・コンペラ)氏写真1:米Juniper Networks エンジニアリング担当最高技術責任者 キリーティ・コンペラ氏
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 「自動運転車は、速度制御やステアリングなど、それぞれが自律型で動作する個々の機能の集合体。以前はあらゆる機能が運転手によるマニュアル操作だったが、個々に自動化してきた。ネットワークも一緒だ。ネットワーク運用の機能を細かく分解し、個々の要素を自律型にする」。

 米Juniper Networksでエンジニアリング担当最高技術責任者を務めるキリーティ・コンペラ(Kireeti Kompella)氏(写真1)は、同社が掲げるネットワーク自律化のビジョン「SELF-DRIVING NETWORK」について、こう説明する。これまで人間のネットワーク管理者が判断・制御していたネットワーク機器の設定などを自律的に行えるようにする。

 ネットワークの自律化のためにはまず、ネットワークの状態をデータ分析できるように、ネットワークの監視データを収集してビッグデータ化する必要がある。従来は、SNMPなどを使って運用管理ソフト側からリクエストを投げてプル型で監視データを取得していたが、これからはネットワーク機器側から定期的に監視データを転送する。

 既存のネットワーク機器を監視したり制御したりできるように、既存の運用管理の仕組みをそのまま流用する。例えば、ネットワーク機器が出力する監視データは、Syslogその他の既存の仕組みを利用して転送する。また、管理者はネットワーク機器に対して「どんな情報を、どの頻度で知りたいか」を、CLIやNETCONFなどの既存の仕組みを利用して伝える。

 こうして収集したネットワーク監視のビッグデータを機械学習などを用いて分析し、あらかじめ与えておいたポリシーに基づいて意思決定し、ネットワーク機器の設定変更などの各種のアクションを起こす(図1)。

図1:ネットワーク機器の監視データをビッグデータ化してデータ分析/意思決定し、自律的にアクション(制御)を実行する(出典:ジュニパーネットワークス)図1:ネットワーク機器の監視データをビッグデータ化してデータ分析/意思決定し、自律的にアクション(制御)を実行する(出典:ジュニパーネットワークス)
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 運用管理の項目(機能)ごとに、こうしたクローズドループを実現する。個々のクローズドループが、運用管理のソフトウェアロボットになる。ソフトウェアロボットは、ネットワーク運用のタスク全体を小規模な機能に分解したものであり、それぞれが自律的に動作する。

 とはいえ、ソフトウェアロボットを人間が全面的に信用して仕事を任せるかどうかは分からない。このため、ソフトウェアロボットは、段階的に、可視化、予測、提案、自律運用の機能を提供する。まずは可視化し、使えると判断したら予測や提案に使い、最終的に人間からの信頼を得たら自律運用を始める、といった使い方が可能である。

 すでに米Juniper Networksは、ネットワークの自律運用のための機能を実装した運用管理ソフトを、大まかな機能ごとに提供している(図2)。これらのソフトウェアを企業のニーズに合わせて組み合わせることで、企業のネットワーク運用を自律化できるとしている。

図2:ネットワーク自律化のための機能をネットワーク運用管理ソフトに実装している(出典:図1:ネットワーク機器の監視データをビッグデータ化してデータ分析/意思決定し、自律的にアクション(制御)を実行する(出典:ジュニパーネットワークス)図2:ネットワーク自律化のための機能をネットワーク運用管理ソフトに実装している(出典:ジュニパーネットワークス)
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