[新製品・サービス]

富士通、組み合わせ最適化を解くデジタルアニーラを8192ビットに拡張、オンプレミス設置も可能に

第1世代と比べて処理速度が100倍に

2018年12月21日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)

富士通は2018年12月21日、組み合わせ最適化問題を高速に解くクラウドサービス「FUJITSU Quantum-inspired Computing Digital Annealer」(デジタルアニーラ クラウドサービス)において、プロセッサの性能を高めた第2世代を発表、同日提供を開始した。2018年度中に北米と欧州に、その後はアジアへも順次展開する。2019年2月22には、デジタルアニーラのサーバーをクラウドではなくオンプレミスに設置できる「FUJITSU Quantum-inspired Computing Digital Annealer オンプレミスサービス」を開始する。価格はいずれも個別見積もり。

 デジタルアニーラは、さまざまな要因の組み合わせを考慮しながら最適解を見つけ出す“組み合わせ最適化問題”を高速に解くためのコンピューティングアーキテクチャである。デジタル回路の利点(高い設計自由度やノイズ耐性)と、量子現象に着想を得た高速性を併せ持つ。現行の量子アニーリングマシンでは扱うことができなかったような複雑で大規模な問題も解くことができる。

写真1:デジタルアニーラで利用する専用プロセッサ「Digital Annealing Unit(DAU)」の外観写真1:デジタルアニーラで利用する専用プロセッサ「Digital Annealing Unit(DAU)」の外観 (出典:富士通)

 デジタルアニーラのハードウェア上の特徴は、コンピュータ内部で素子同士が自由に信号をやりとりできる全結合型の設計を採用していることである。第1世代のプロセッサは1K(1024)ビット、第2世代のプロセッサは8K(8192)ビットを、全結合で相互接続している(写真1)。さらに、ビット間の結合の強さを、第1世代で16ビット(6万5536)階調、第2世代で64ビット(1845京)階調で細かく表現できる。

 富士通は2018年5月15日から、デジタルアニーラのサーバーをクラウド型で提供するサービスとして、デジタルアニーラ クラウドサービスを提供してきた(関連記事富士通、組み合わせ最適化問題を高速に解くクラウドサービスを開始)。

8192ビットを全結合で相互接続する第2世代で、より大規模な問題を解く

写真2:「デジタルアニーラ」のオンプレミスサーバーの外観写真2:「デジタルアニーラ」のオンプレミスサーバーの外観
拡大画像表示

 これまでは第1世代のプロセッサを使ってサービスを提供してきたが、今回、第2世代のプロセッサを搭載したサーバーを使ったサービスを開始した。

 第2世代のデジタルアニーラでは、第1世代よりも大規模な問題に適用できるようになった。例えば、工場のフロア全体の生産ラインの最適化や、中分子クラスを対象とした創薬の分野など、より複雑な課題に適用できるようになった。第2世代ではさらに、第1世代と比べて100倍もの処理速度向上を図っている。

 第2世代では、より使いやすくするため、演算中の状態に基づいてデジタルアニーラの制御パラメータを調整する自動チューニングのモードを選べるようにした。この機能によって、ユーザー自身で制御パラメータを調整することなく解を得られる。デジタルアニーラで組み合わせ最適化問題の解を求めるには、問題に応じて最適な制御パラメータを決定する必要があり、これまでは専門的な知識が必要になっていた。

 2019年2月22日には、第2世代のサーバーをユーザーのデータセンターに設置して利用できるデジタルアニーラ オンプレミスサービスを提供する(写真2)。

 今後は、富士通研究所が開発した大規模な問題への適用を可能とする問題分割技術(関連記事富士通、組み合わせ最適化問題の適用範囲を拡大する新技術、中分子創薬に適用可能に)などを活用し、将来的に100万ビット規模の大規模な組み合わせ最適化問題への対応を目指す。

関連キーワード

デジタルアニーラ / 富士通 / HPC / 量子コンピュータ / 量子アニーリング

関連記事

トピックス

[Sponsored]

富士通、組み合わせ最適化を解くデジタルアニーラを8192ビットに拡張、オンプレミス設置も可能に富士通は2018年12月21日、組み合わせ最適化問題を高速に解くクラウドサービス「FUJITSU Quantum-inspired Computing Digital Annealer」(デジタルアニーラ クラウドサービス)において、プロセッサの性能を高めた第2世代を発表、同日提供を開始した。2018年度中に北米と欧州に、その後はアジアへも順次展開する。2019年2月22には、デジタルアニーラのサーバーをクラウドではなくオンプレミスに設置できる「FUJITSU Quantum-inspired Computing Digital Annealer オンプレミスサービス」を開始する。価格はいずれも個別見積もり。

PAGE TOP