リコーは2018年12月26日、マシンラーニング(機械学習)の学習速度を26~259倍に高速化したと発表した。機械学習の手法の1つであるGBDT(Gradient Boosting Decision Tree:勾配ブースティング決定木)モデルの学習を高速化・低消費電力化する回路アーキテクチャを開発した。この回路をFPGAで実装したところ、CPU/GPUと比べて学習が26~259倍高速化できたという。
リコーは今回、GBDT(勾配ブースティング決定木)モデルの学習に特化した回路アーキテクチャを開発し、FPGA(Field Programmable Gate Array)に実装した。GBDTモデルの学習に使う一般的なソフトウェアライブラリ(XGBoost、LightGBM、CatBoost)をCPU/GPU環境で使った場合と比べたところ、学習を26~259倍に高速化できた。これまでよりも短時間でGBDTモデルを学習・更新できるようになった(図1)。
拡大画像表示
学習時の消費電力も小さい(図2)。電力効率は、GPU/CPUと比較して90~1105倍となった。消費電力が低いことから、IoTデバイス側で学習させる使い方もできる。さらに、学習したモデルの予測精度においても、ソフトウェアライブラリを使って作成したモデルと同等であることを確認した。
拡大画像表示
なお、GBDTは、教師あり機械学習(Supervised Learning)の手法の1つで、データベースなどで構造化したデータの学習に向く。応用先として、Web分野(オンライン広告のリアルタイム入札やECサイトのリコメンデーション)、金融分野(株式のアルゴリズム取引)、セキュリティ分野(サイバー攻撃の検出)などがある。
リコーの研究開発本部であるリコーICT研究所は、今回の研究成果を米コーネル大学(Cornell University)が運営する論文投稿サイト「arXiv.org」で発表した(画面1)。
拡大画像表示