IDC Japanは2019年2月27日、国内ITサービス市場予測を発表した。国内ITサービス市場は、2019年以降も緩やかな成長を継続し、2023年には6兆408億円になる見通しとしている。
IDC Japanの調査結果によると、2018年の国内ITサービス市場は、前年比成長率2.1%の5兆6664億円に達した。2016年以降、同市場は、金融や公共/公益における大規模プロジェクトが終息に向かった影響により、成長率は1%台まで鈍化。2018年もこの影響は残ったものの、製造や流通におけるIT投資の拡大により、成長率は2%台にまで上昇している(表1)。
IDC Japanは2019年以降、デジタル変革に取り組む企業はさらに増えると見ている。全社的な変革を図り、競争優位の確立につながるような新たな製品やサービス、ビジネスモデルを創出できる企業は限られる一方、レガシーシステムの刷新やクラウド環境への移行、業務プロセスの効率化や自動化への取り組みが進むことで、ITサービス支出の拡大に寄与するとしている。また、2020年開催予定の東京オリンピック・パラリンピックによる支出拡大効果も挙げる。
しかしながら、2021年には反動減となる見通しだ。また、国内経済の低成長予測やITサービスの代替製品/サービスの拡大が市場成長を阻害するという。これらの要因から、2018年~2023年の年間平均成長率(CAGR: Compound Annual Growth Rate)は1.3%で推移すると予測している。
デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む企業が増えると、これを支援するITサービス事業者にとって新たな事業機会が見込める。一方、求められるサービスの内容や形態、サービス提供の手段や方法論に変更が生じるため、従来のビジネスモデルからの変革を迫られるという側面もある。
IDC Japanは、「DXで重要なことは、継続的に実践し、そこで得た経験を活かすこと。ITサービス事業者は、企業のDX推進を支援するパートナーとして、自らのDXに率先して取り組むべき」との見解を示している。