大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立遺伝学研究所(遺伝研)は、ゲノム関連の各種データベース基盤などに利用するスーパーコンピュータシステムを構築し、2019年3月5日に稼働させた。合計216ノード構成で、総理論演算性能は従来システム比で約2.2倍となる876.2TFLOPS(テラフロップス)。新たにAIを活用したゲノム解析環境も備えた。日立製作所が2019年3月5日に発表した。
近年、次世代のDNAシーケンサー技術の発展によって、膨大なゲノムデータが取得できるようになり、ゲノム解析技術の多様化と高度化が進んでいる。こうした中、遺伝研のスーパーコンピュータシステムは、国内250カ所以上の研究機関が活用しているため、ゲノム解析やデータベース構築に必要な演算能力やストレージ容量の増強が求められていた。
拡大画像表示
今回稼働を開始したシステムは、各ノードをInfiniBandネットワークで相互接続し、リソースを論理的に分割可能とした。ゲノム解析用途や各種データベース用途といった用途ごとにノードを割り当てて運用できる。大規模なストレージ環境も備えており、塩基配列データを登録する国際塩基配列データベースをはじめ、ゲノム関連の各種データベースを構築するITインフラとしても活用する(図1)。
また、AIによるゲノム解析環境を実現した。GPUとして「NVIDIA Tesla V100」を採用し、AIによる解析が可能なソフトウェアを整備した。さらに、コンテナ技術も採用した。研究者が必要とする各種アプリケーションやライブラリをコンテナとしてパッケージ化し、瞬時にゲノム解析環境を再現できるようにした。