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富士通、ポスト「京」スパコンの製造を開始、技術を転用した商用機は2019年度下期に販売

2019年4月15日(月)日川 佳三(IT Leaders編集部)

富士通は2019年4月15日、スーパーコンピュータ「京」の後継機であるポスト「京」について、製造・出荷・設置を進めることについて理化学研究所と正式に契約を締結したと発表した。2021年から2022年頃の共用開始を目指している。後継機の技術を活用した商用スーパーコンピュータについては、2019年度下期にグローバルで販売を開始する。

 富士通と理化学研究所は、2006年からスーパーコンピュータ「京」を開発し、2012年から運用している。2014年10月から後継機であるポスト「京」の試作と詳細設計を進めてきた。今回、設計を完了し、製造・出荷・設置を進めることで理化学研究所と正式に契約を締結した。

 ポスト「京」は、現在「京」を設置している理化学研究所計算科学研究センター(所在地:兵庫県神戸市)に設置する。ハードウェアの製造は、富士通ITプロダクツ(本社:石川県かほく市)で行う。

 ポスト「京」の技術を生かした商用スーパーコンピュータも開発する。「FUJITSU Supercomputer PRIMEHPC FX100」の後継機として、2019年度下期にグローバルで販売開始の予定(表1)。導入しやすいエントリーモデルの開発や、他ベンダーへの供給なども検討する。

Armで広範なユーザーに訴求、半精度演算で機械学習用途も

 ポスト「京」の特徴の1つは、より幅広いユーザー層による利用を想定し、CPUにこれまでのSPARCに代わってArmアーキテクチャを採用したことである(関連記事富士通、ポスト「京」のCPU「A64FX」の仕様を公表)。さらに、現行の「京」と同様に、大容量データをメモリーからCPUに高速に転送できるように高いメモリーバンド幅も確保している。

 搭載するArmベースのCPU「A64FX」の演算性能は、倍精度(64ビット)浮動小数点演算がピーク性能で2.7TFLOPS以上、単精度(32ビット)ではこの2倍、半精度(16ビット)では4倍。16ビット整数、8ビット整数の演算性能も強化した。従来のスーパーコンピュータが得意とするシミュレーションだけでなく、ビッグデータ処理やマシンラーニング(機械学習)など、幅広い分野に適応する。

 プログラムの開発環境を含むシステムソフトウェアは、「京」と互換性のあるものを富士通が継続して提供する。「京」で蓄積したプログラム資産は、コンパイルしなおすだけでポスト「京」の上でも動作する。

表1:「FUJITSU Supercomputer PRIMEHPC FX100」後継機の主な仕様
CPU 名称 A64FX
命令セットアーキテクチャ Armv8.2-A SVE
コア数 計算ノード:48コア+2アシスタントコア
IO兼計算ノード:48コア+4アシスタントコア
理論演算性能 2.7TFLOPS以上(倍精度)
ノード アーキテクチャ 1CPU/ノード
メモリー容量 32GB(HBM2、4スタック)
メモリーバンド幅 1024GB/s
インターコネクト TofuインターコネクトD
ラック 最大ノード数 384ノード/ラック
ソフトウェア OS Linux
HPCミドルウェア FUJITSU Software Technical Computing Suite後継

●Information
富士通フォーラム2019」開催決定、今年のテーマは
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2019年5月17日(金)/東京国際フォーラム(有楽町)/イベント公式サイト

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