KPMGコンサルティングは2019年6月14日、個人から預かったデータの利活用を目的とした情報銀行(情報利用信用銀行)事業に参入したい企業を支援するサービス「情報銀行設立支援サービス」を発表した。同日提供を開始した。
情報銀行とは、個人データを個人本人の関与の下で蓄積、管理、流通、活用するためのデータ流通基盤である。個人データや産業データの取引を活性化させることによって、企業や分野を越えてデータを流通させることができる。
KPMGコンサルティングが開始する情報銀行設立支援サービスは、情報銀行事業に参入したい企業を支援する(表1)。情報銀行の「戦略・立案」、「設計」、「構築・導入」、「運用・事業拡大」までを包括的に支援する。
ただし、情報銀行の実現には課題もある。データ提供者にとって分かりやすい仕組みや、個人情報の管理方法、安全性の担保といった課題がある。また、多くの企業は、リスクを恐れるあまり個人データの利活用を躊躇している。消費者だけでなく企業側のリテラシーの向上も重要である。
KPMGコンサルティングは、GDPR(EU一般データ保護規則)や中国サイバーセキュリティ法への対応において、豊富な実績とノウハウがあるとアピールしている。さらに、ブロックチェーンやAIなどの最新技術に精通しているという。これらを利用して、情報銀行事業への参入を支援するとしている。
なお、現在は、情報銀行の実現に向けた機運が高まっている。要因の1つとして、2017年の改正個人情報保護法の施行や、総務省と経済産業省による「情報銀行認定制度」の仕組み作りに関する指針の公表などがある。企業や団体による実証実験も始まった。情報銀行事業への参入を検討する企業や団体が増えている。