沖縄県を拠点とするJALグループの日本トランスオーシャン航空は、BI(ビジネスインテリジェンス)システムを導入し、財務、教育、サービス関連のレポート業務と分析業務を自動化した。導入効果として、データ分析の精度やスピードが向上した。BI関連ソフトウェアを提供したウイングアーク1stが2019年7月31日に発表した。
日本トランスオーシャン航空は、2017年9月末にBIシステムを導入し、財務、教育、サービス関連のレポート業務と分析業務を自動化した(画面1)。2018年度内に、収支予実分析機能など5つの機能(約40のサブ機能を含む)を構築した。BIシステムを構成する要素として、ウイングアーク1stの製品群を採用した。
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導入した製品は3つある。(1)「Dr.Sum Connect」は、各種のデータソースを収集・加工してデータウェアハウス(DWH)に登録するETLソフトである。(2)「Dr.Sumデータベースエンジン」は、DWHソフトである。(3)「MotionBoard」は、DWHのデータを分析して可視化するBIダッシュボードソフトである。
構築したBI機能は、大きく5つあり、以下の通り。これらは、約40のサブ機能を含んでいる。
- 収支の予実を分析する機能
- MP登録機能
- 社内教育の申し込み機能
- 顧客サービス品質の評価を登録する機能
- 旅客収入を分析する機能
最も広く使われている機能が、収支の予実を分析する機能と、MP登録機能である。毎月実施しなければならない予実の差異分析を効率化できる。分析精度の向上とスピードアップに貢献している。
BIシステムの導入によって、各部門で毎回4時間以上を費やしていたExcelによるデータ集計やレポート作成の作業も、ほぼ無くすことができた。また、業務現場の担当者の要望に応えた機能として、社内教育の申し込み機能や、顧客サービス品質の評価を登録する機能を提供している。
今後は、MP策定業務の自動化、促進旅客収入分析の効率化、人件費分析の効率化、投資計画の策定効率化、減価償却費の分析などの案件に着手する。このほか、各部門からシステム化の要望が上がってきた場合は、業務上の優先度を考慮しながら機能の拡充を図る。JALグループ各社に向けたシステムの横展開も視野に入れる。
日本トランスオーシャン航空では従来、業務分析に必要なデータをシステム単位で管理しており、レポート作成の担当者は各部門に対して個別にデータ提供を依頼する必要があった。このため、タイムラグが発生し、リアルタイムに近い鮮度の高いデータを入手できていなかった。また、レポートの作成にはExcelを使っており、データ集計や分析のためには複雑なマクロを駆使する必要があった。