[市場動向]

あいおいニッセイ同和損保、車載データを活用した事故対応サービス、保険金支払日数を50%短縮

2019年8月9日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)

あいおいニッセイ同和損害保険は2019年8月9日、ドライブレコーダ映像などのデジタルデータを活用した事故対応サービス「テレマティクス損害サービスシステム」を発表した。保険請求手続にかかる負担を軽減し、対物賠償保険金の支払いまでの日数を約50%短縮するとしている。運転状況の可視化など一部の機能は開発済み。過失割合の判定支援は2020年度上期から提供する。

 あいおいニッセイ同和損害保険の「テレマティクス損害サービスシステム」は、自動車事故が起こった際の情報収集手段として、車載機器から自動的に得られるデジタルデータ(客観的な情報)を活用する事故対応サービスである(図1)。GPS情報や走行データ、ドライブレコーダ映像などである。これに対して従来は、保険契約者との電話や書類のやり取りを中心に情報を収集していたため、保険請求手続にかかる負担が大きかった。

図1:テレマティクス損害サービスシステムの機能と提供時期(出典:あいおいニッセイ同和損害保険)図1:テレマティクス損害サービスシステムの機能と提供時期(出典:あいおいニッセイ同和損害保険)
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 事故対応に着手するプロセスも改善する。テレマティクス損害サービスシステムでは、車両から得られるデジタルデータから車両が受けた大きな衝撃を検知し、保険会社から保険契約者へ能動的に事故の発生を連絡する。これに対して従来は、保険契約者から保険会社に事故の発生を連絡する必要があった。

 なお、あいおいニッセイ同和損害保険は、運転挙動を保険料に反映させる保険商品として、テレマティクス自動車保険を提供している。今回発表したサービスは、テレマティクス自動車保険を提供する中で得られるデジタルデータを、損害サービスに活用したものである。

 テレマティクス損害サービスシステムは、機能ごとに4つのステップに分けて順次導入する。

 ステップ1として、車載器(カーナビやGPSなど)と移動体通信システムによって得られるテレマティクス情報を可視化する。運転軌跡、標識、速度、天候などのデータをビジュアル化する。同機能は開発済みであり、2019年4月から導入が始まった。

 ステップ2として、事故を検知する機能をAIを用いて高度化する。通常時の走行データと車両衝突時のデータをAIに学習させることで、データから事故を高精度に検知できるようにする。同機能は開発済みであり、2019年10月から導入する。

 ステップ3として、相手車両や周辺環境を含んだ事故状況を把握する。GPSデータやドライブレコーダから分かる事故場所や相手車両の運転挙動をAIで解析・判定し、事故の状況を機械的に算出する。同機能は開発中・実証実験中であり、2020年度上期に導入する。

 ステップ4として、事故の過失割合の判定を支援する。AIによって機械的に判定した事故状況を基に、判例情報と照らし合わせて過失割合(修正要素を含む)の判定を支援する。同機能は開発中・実証実験中であり、2020年度上期に導入する。

 各業務システムの開発にあたり、日本国内のパートナー企業と協業した。具体的には、富士通、野村総合研究所、SCSK、大日本印刷、インテリジェント ウェイブ、日本IBM、SBI FinTech Incubationの7社と共同で開発した(図2)。

図2:国内の開発パートナー企業の役割分担(出典:あいおいニッセイ同和損害保険)図2:国内の開発パートナー企業の役割分担(出典:あいおいニッセイ同和損害保険)
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