大日本印刷(DNP)は2019年8月22日、遠隔地の状況を映像でリアルタイムかつセキュアに確認できるシステム「リモート監視機能」を発表した。インターネット上のサーバーに映像を保存することなく、閲覧端末からネットワークカメラ映像に直接アクセスできる。同日提供を開始した。価格(税別)は、初期設定費用が80万円、月額利用料が1セットあたり1万3000円から。
DNPが提供するリモート監視機能は、遠隔地の状況を映像でリアルタイムかつセキュアに確認できるシステム製品である(図1)。ネットワークカメラとモバイル(LTE)通信ゲートウェイ機器、閲覧端末や各機器で動作するVPNソフトウェア、認証と端末管理を司るクラウドサービス、で構成する。
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最大の特徴は、VPNソフトウェアを用いて、カメラ映像の閲覧端末とネットワークカメラ(LTEゲートウェイ)がピア・ツー・ピアで直接通信することである。映像データをクラウド上のサーバーに保管せずに閲覧端末で直接確認できる。これにより、情報セキュリティポリシーが厳しい企業でも導入が容易である。
LTEゲートウェイをセットで提供することから、ネットワークカメラ側でのネットワーク配線が要らない。電源だけあれば利用を開始できる。また、ゲートウェイはネットワークカメラがフリーズ(機能停止)した際に自動て復旧させる機能を備えている。これにより、復旧作業などの運用負荷を軽減できる。
想定する主な用途は、建築現場やインフラ・物流施設、教育現場など、現地の状況をリアルタイムかつセキュアに確認したい場面での利用である。例えば、鉄道の踏切で問題が発生した場合、監視カメラの映像に不特定多数の人が映りこむため、個人情報保護およびセキュリティの観点から、他社が管理するクラウド環境に映像データをアップロードする従来のサービスは導入が難しいという。
なお、DNP Multi-Peer VPNは、DNPが2015年から提供している技術およびソフトウェアである。IoT機器を安全に活用することを目的としている。通信機器同士の認証と管理を専用サーバーで行い、VPNのデータ通信はサーバーを介さずにピア・ツー・ピアで実施する。今回、同技術をネットワークカメラと閲覧端末に搭載して製品化した形である。