米シンメトリーディメンションズ(Symmetry Dimensions)とNTTドコモは2019年9月18日、日本HPと協力して、現実世界の空間情報・位置情報を基に、サイバー空間内に現実世界を再現する「デジタルツイン」を活用した、建築・土木業界の次世代の働き方を可能にする共同実証実験を実施することで合意したと発表した。
米Symmetry Dimensions(本社: 米デラウェア州ウィルミントン、CEOは沼倉正吾氏)とNTTドコモが、現実世界の空間情報・位置情報を基に、サイバー空間内に現実世界を再現する「デジタルツイン」を活用した、建築・土木業界の次世代の働き方を可能にする共同実証実験を実施する。実証実験の基盤構築で日本HPの協力を得る。
デジタルツインとは、現実世界に存在する場所・物・事・人をデジタルデータ化し、サイバー空間上で現実と寸分違わない3D映像を構築することを指す。
両社によると、実験では、ドローンやレーザースキャナで大容量の点群データ(物体や空間を計測し、多数の点の3次元座標を点群として記録するデータ)を取得する。こうして取得した点群データを、5G(第5世代移動通信方式)を通じて、「ドコモオープンイノベーションクラウド」上に収集する。クラウド上でデータを処理することによって、サイバー空間上に現実世界の空間を再現する(図1)。
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VR(仮想現実)とAR(拡張現実)を活用することで、実寸で現実と同様の色や質感を立体的に再現し、遠隔地にいても現場にいるかのような環境を再現する。測量技師などは、現場に行かずにサイバー空間上で何度でも調査・測量を行えるようになり、移動時間や再測量といった業務稼働を削減できる。デジタルツインを利用することで、これまで限定的だった現場のデータが増え、遠隔からの現場指揮や未来予測などに活用することも可能になる。これらにより、建築・土木業界の業務効率化につなげることを目指している。
デジタルツインを活用するためには、現実世界をスキャンして得られる膨大な点群データが不可欠。この点群データを効率よく、迅速にやり取りする方法と、高スペックなワークステーション、それらを円滑に処理するための画像処理エンジンが必要になる。
●Next:5Gを駆使してデジタルツインを実現
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