三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)、日本総合研究所(日本総研)、富士通の3社は2019年10月24日、AIを活用してソフトウェアの修正案を自動推奨する技術について、有効性を確認するための実証実験を共同で実施したと発表した。実証実験の結果、検出された潜在バグの半数以上に対して適切な修正案を推奨できた。これにより、潜在バグの修正時間が手作業と比べて最大で約30%削減できた。
今回3社が実証実験を行った技術は、AIを活用してソフトウェアの修正案を自動推奨する技術である。静的解析ツールが検出した、ソフトウェアの潜在バグに対応する修正案を、AIを活用して自動的に生成し、ソフトウェア開発者に推奨する(図1)。
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実証実験では、同技術を、日本総研が開発している三井住友銀行の金融取引システムに適用した。実証実験の期間は、2019年8月1日から9月30日までである。この結果、潜在バグの52.7%について、修正案を出力できた。また、これらのうち95.3%は、妥当であることが確認できた。つまり、潜在バグ全体の50.2%に対して適切な修正案を推奨することができたことになる。
実証実験の結果を基に、潜在バグの修正時間を試算した。これによると、AIが自動推奨した修正案を活用した場合、開発者が修正内容を考えて手作業で対応していた場合に比べて、最大で約30%の時間を削減できることが分かった。
同技術は、米国富士通研究所(Fujitsu Laboratories of America)と富士通研究所が開発した。仕組みは、様々なソフトウェアの開発履歴データから、潜在バグの修正パターンをAIがあらかじめ学習しておくとというもの。開発中のソフトウェアの潜在バグと突き合わせることで、最適な修正案を自動で生成する。
なお、富士通では、実証実験の結果に基づき、本技術で分析できる潜在バグの抽出数を増やし、精度を改善する。この上で、2020年度中に開発支援サービスとして提供することを目指す。