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日立ハイテク、クラウドERP「SAP S/4HANA Cloud」で業務を標準化、アドオン開発の脱却狙う

2019年12月10日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)

日立ハイテクノロジーズ(日立ハイテク)は、本社の経営基盤システムをSAP ERPから新たにクラウド型のERP(統合基幹業務システム)ソフトウェア「SAP S/4HANA Cloud」に移行する。2019年12月10日、SAPジャパンが開催した記者発表会に日立ハイテクノロジーズが登壇し、自社の導入事例を説明した。

 日立ハイテクノロジーズは2001年、エレクトロニクス専門商社の日製産業と日立製作所計測器グループ、同半導体製造装置グループが統合して発足した企業である。半導体や新材料・バイオなどの事業をグローバルで展開している。

 同社は、1996年からSAP R/3を導入・運用してきた。今回、業務プロセスの標準化による経営のスピードアップなどを図るため、本社のERPシステムを刷新することに決めた。現在運用しているSAP ERPから、クラウドERPのSAP S/4HANA Cloudへと移行する。

 すでに、2017年に買収した海外グループ企業5拠点(英国、米国、中国、ドイツ、フィンランド)においては、マルチテナント型のSAP S/4HANA Cloudが稼働済み。今回、本社にシングルテナント型のSAP S/4HANA Cloudを導入する。今後は、本社と海外グループ会社の2層構造でクラウドERPを活用していく。

図1:アドオン開発によって現行のERPの運用コストが肥大化していた(出典:日立ハイテクノロジーズ)図1:アドオン開発によって現行のERPの運用コストが肥大化していた(出典:日立ハイテクノロジーズ)
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写真1:日立ハイテクノロジーズでデジタル推進本部理事本部長を務める酒井卓哉氏写真1:日立ハイテクノロジーズでデジタル推進本部理事本部長を務める酒井卓哉氏
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 本社のERPをクラウドERPに移行する理由の1つは、現行のERPの運用コストが肥大化していたことである(図1)。日立ハイテクノロジーズでデジタル推進本部理事本部長を務める酒井卓哉氏(写真1)は、「アドオン開発が多く、あまり使われない機能が沢山あり、非効率なシステムになっていた。複雑化し、老朽化していた」と指摘する。

 アドオン開発に対応することは、新技術をキャッチアップするスピードも鈍くする。「声の大きい人が挙げたアドオン開発の要望によって、来期の開発スケジュールが埋まってしまう。後から良い提案をしても、開発に割く余力がない」(酒井氏)。業務プロセスを標準化することによる経営のスピードアップが求められていた。

 日立ハイテクノロジーズは、デジタル変革の骨子として、4つのポリシーを打ち立てている。「世界標準のシステムであること」、「システム標準機能に業務を合わせること」、「クラウドファースト」、「モバイルファースト」、――である。このポリシーの下、既存ERPの更新を検討し、クラウドERPであるSAP S/4HANA Cloudを採用した。

 クラウドERPは、四半期ごとに機能のアップデートがある。このことは、業務を標準機能に合わせ、最新機能を活用することにもつながる。同社は、クラウドERPの採用によって、業務プロセスも改革する。例えば、受発注のEDI(電子データ交換)といったプロセスを各部門で標準化する。

 データの活用にも取り組む。「現在は、予算編成や業績管理などの業務を、Excelと残業とガッツで回している。これを改善する」(酒井氏)。データの集計作業を不要に、すべてのデータを収集してワンファクトとして利用できるようにする。こうして収集したデータを分析し、売上の予測などに活用する予定である。

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