アクセンチュアは2019年12月11日、マイクロサービスアーキテクチャなどのクラウド技術を活用して銀行の勘定系システムといった基幹業務システムを構築できるようにするシステム基盤「アクセンチュア クラウドネイティブ コアソリューション」を発表した。インフラ/ミドルウェア基盤の構築や業務アプリケーション開発を組み合わせたSIサービスとして提供する。導入事例の1つが、ふくおかフィナンシャルグループが2021年春頃に創業を予定している新銀行「みんなの銀行」である。勘定系システムに適用する。
アクセンチュアクラウドネイティブコアソリューションは、マイクロサービスアーキテクチャなどのクラウドネイティブな技術群を活用して、銀行の勘定系システムなどの基幹システムを構築できるようにする、システム基盤製品である。パブリッククラウドサービスが備える機能群や、オープンソースのミドルウェアを活用し、基幹システムの中核機能を支えるシステム基盤を構築する。業務ロジックもスクラッチで開発して提供する。
クラウド技術を活用して、基幹システムのコア機能を構築する。まず、マイクロサービスとAPIによって、システム規模の拡張性を担保する(図1)。ベース技術として、コンテナ基盤のKubernetesや、分散メッセージング基盤のApache Kafkaを活用する。負荷に応じて自動でシステム規模を拡張することで、基幹システムが要求する可用性を担保する。
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日次バッチなどのバッチ処理のためにオンラインのトランザクション処理を止めてしまうことのないように、Apache Beamも利用する。これにより、バッチ処理とオンラインのストリーム処理を同時に並列で実行できる。また、顧客データをリアルタイムに分析して即時アクションを実行できるように、DWHやデータ分析の仕組みも提供する。最新モジュールを本番環境に容易に反映できるようにするDevOpsの仕組みも構築する。
検証用に構築した勘定系システムで性能と可用性を確認
アクセンチュアでは、「銀行の勘定系システムとして使えるかどうか」に着目し、勘定系システムの業務ロジックも実装し、アクセンチュアクラウドネイティブコアソリューションの性能や可用性を検証した。性能と可用性は、大量のコンテナを使うことで担保した。
検証では、480万件の全口座を対象とした利息計算バッチを並行して動作させつつ、秒間2000件を超える参照系および更新系のトランザクションを発生させた。すべてのトランザクションについて、200~300ミリ秒のレスポンスで応答できた。また、この負荷状態の中で一部サービスを強制的に遮断したが、サービスエラーを発生させずに自動で復旧できた。
また、上記の負荷がかかっている状態で、サービスを停止することなく新版へと切り替えることにも成功した。本番環境と開発環境をネットワークで切り替えるブルーグリーンデプロイを利用した。さらに、1億件を超えるデータを格納したDWH(データウェアハウス)に対してマーケティング分析の問い合わせを行い、3~5秒で返答が返ってきた。
●Next:ふくおかフィナンシャルグループが採用するGCPのクラウド技術
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