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富士通研究所、AIが認識可能な画質で映像データを高圧縮する技術、検証では10分の1に削減

2020年3月6日(金)IT Leaders編集部

富士通研究所は2020年3月5日、高精細・大容量な映像データを、AIが認識できる必要最小限のサイズまで高圧縮する技術を開発したと発表した。映像データを、従来の人間による視認を目的とした圧縮技術に比べて、10分の1以上圧縮することが可能だという。

 富士通研究所は、高精細で大容量な映像データを、AIが認識できる必要最小限のサイズまで高圧縮する技術を開発した(図1)。AIが重視する領域を自動で解析した上で、AIが認識できる必要最小限のサイズまでデータを圧縮する。

図1:人間ではなくAIが認識できる画質のイメージ(出典:富士通研究所)図1:人間ではなくAIが認識できる画質のイメージ(出典:富士通研究所)

 映像データに映っているヒト・動物・モノなどを認識する際に、判断基準となる特徴において、重視する画像の領域がAIと人間では異なることに着目した。これにより、AIの認識精度を低下させることなく、データサイズを縮小できる。

 データサイズが減ることで、大量の映像データを解析できるようになるほか、運用、伝送回線コストを削減できる。

 開発した技術の仕組みとして、まず、画像全体の圧縮率を変えて画質を変化させ、圧縮率を変化させた時の認識結果への影響度を、格子状に区切った画像領域ごとに集計する。こうして、AIの認識過程における特徴の重要度合いを、すべての領域ごとに判定する。

 こうして、各々の領域で認識精度を急激に劣化させる直前の圧縮率を、認識精度に影響しない圧縮率として推定する。さらに、連続する画像におけるAIの認識結果をフィードバックして、必要最小限まで圧縮率を高める。

 実際の効果を測定するため、工場で梱包作業を行っている複数作業員の様子を4Kの高精細カメラで撮影した映像に、今回開発した技術を適用した。すると、認識精度が劣化することなく、データサイズを10分の1に削減できた。

 富士通研究所は今後、同技術をさまざまなケースで評価し、さらなる圧縮性能の向上のための研究開発を進める。2020年度中に実用化を図り、製造業を支えるサービス基盤である「FUJITSU Manufacturing Industry Solution COLMINA」などを通じて展開する。

 開発の背景として同社は、高精細カメラの普及や第5世代移動通信(5G)システムにより、製造業や小売業における行動分析などにおいて、大規模な映像データの活用が進むという状況を挙げる。「映像データの品質を落とさずにエッジからクラウドへデータを送信できる高圧縮技術が求められる」という。

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