日立製作所は2020年6月22日、COBOLベースの既存システムをCOBOLを使い続けながら新しいシステム環境へと移行するための開発基盤サービス「マイグレーション開発環境構築支援サービス」を開始した。開発環境にCI(継続的インテグレーション)を取り入れ、マイグレーション開発の一連の流れを自動化している。価格は、個別見積もり。
マイグレーション開発環境構築支援サービスは、COBOLで開発した既存のレガシーシステムを、COBOLを使い続けながら新しい環境にマイグレーション(移行)するための開発基盤サービスである(図1)。開発環境として、開発者やプロジェクト管理者を支援する各種の機能やツール群を提供する。
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最大の特徴は、マイグレーションの開発プロセスに、アプリケーション開発プロセスを自動化するCI(継続的インテグレーション)の仕組みを適用したことである。CI基盤ソフトウェアとして「Monaca DevOps」(アシアル製)を採用した。マイグレーション開発は手作業が多く煩雑だが、CIによって、これらを自動化する。不具合を早期に発見できるほか。手戻りを少なく、かつその影響を小さくできる。
なお、CIは、アプリケーション開発におけるビルド(ソースコードのコンパイルやライブラリのリンクなどの構築作業)やテストといった開発プロセスを自動化する手法である。リリースサイクルの短縮や早い段階での品質確保を実現できる。主に、アジャイル開発の現場で利用している手法である。
マイグレーション開発環境構築支援サービスでは、CI基盤の提供に加えて、マイグレーションに必要となる機能やツールを一括して提供する。
例えば、COBOLのバージョン差異を変換するコンバータの雛形を提供する。コンバータは従来、プロジェクトごとに新規開発が必要となっていた。
新旧システムの帳票出力結果の比較作業を自動化する「帳票現新比較ツール」(東京システムハウス製)も提供する。従来は目視で実施していたため、テスト工程に要する時間の3~5割を占めていた作業である。
各処理の実行状況をタイムリーに可視化・管理できる「ダッシュボード機能」も提供する。これまでは、人手で集計・報告していたため、各処理の実行状況をリアルタイムには把握できず、タイムラグが発生していた。