デルとEMCジャパンは2020年6月30日、米VMwareのクラウド運用ソフトウェアを搭載したHCI(ハイパーコンバージドインフラ)製品「Dell EMC VxRail」の最新動向を発表した。同日付で、高耐久性モデル「VxRail Dシリーズ」(税別で670万円から)と、AMD EPYCプロセッサ搭載モデル「VxRail Eシリーズ」(税別で600万円から)を発表した。2020年4月には、VMware vSphere 7(現行版)を搭載できるようにしている。
Dell EMC VxRailは、米VMwareのクラウド運用ソフトウェアを搭載したHCI(ハイパーコンバージドインフラ)製品である(関連記事:Dell EMC、サーバー仮想化基盤VxRailの全機能をvCenterで管理可能に)。サーバー仮想化ソフトウェアとしてVMware vSphereを、分散ストレージ機能はvSphereのカーネルに組み込まれているVMware vSANを使う。
今回、VxRailの新機種を2つ発表した。
1つは、高耐久性モデルのVxRail Dシリーズである(図1)。デルとEMCジャパンは「どんな場所でも使える」とアピールする。耐熱性は、摂氏マイナス15度~55度。衝撃は重力加速度40Gまで耐える。気圧は、高度1万5000フィート(約4500メートル)でも動作する。エッジコンピュータとしての利用を想定し、高さは1Uで、奥行き20インチ(約50センチメートル)のコンパクトサイズとした。
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もう1つの新機種は、VxRailとしては初めてCPUにAMD EPYCを搭載した、VxRail Eシリーズである。
今回さらに、VxRailで使える新たなハードウェアとして、DIMM型の不揮発性メモリー「Intel Optaneパーシステントメモリー」を搭載できるようにした。大容量メモリーを要求するアプリケーションに向く。まずはCPU性能を重視したモデル「VxRail Pシリーズ」で利用できるようにした。
また、GPUとして「NVIDIA Quadro RTX 8000」も搭載できるようにした。3D CADアプリケーションやマシンラーニング(機械学習)などの用途において、処理をGPUにオフロードして高速化できる。
vSphere 7.0とVCF 4.0を搭載可能に、Kubernetesが動作
2020年4月28日には、VMware vSphereの現行版であるVMware vSphere 7.0を搭載できるようにした。これとともに、VxRailのバージョン表記をvSphereのバージョン表記に合わせ、VxRail 7.0とした。これまではvSphereとVxRaiilのバージョン表記が異なっていたが、今回以降、バージョン表記を合わせる。
今回のvSphere 7.0の搭載では、vSphereのメジャーバージョンアップから時期を置くことなくVxRailで使えるようにした。通常であれば、メジャーバージョンアップ後のマイナーアップデートを待ってからVxRailに搭載してきたが、今回は「いちはやくvSphere 7.0の機能を提供したかった」としている。
vSphere 7.0では、コンテナ管理基盤のKubernetesを組み込んでいる(関連記事:ヴイエムウェア、Kubernetesランタイムを組み込んだ新版「vSphere 7」を5月1日までに提供)。LinuxなどのOS上でKubernetesを動作させるのではなく、ハイパーバイザであるVMware ESXi上でKubernetesがネイティブに動作する。パッケージ製品「VMware Cloud Foundation 4.0」(VCF)を導入することで利用できる。