横浜銀行は2020年7月1日、マネーロンダリングや特殊詐欺などの疑わしい取引を自動で検知する仕掛けとして、NECのAI技術(異種混合学習技術)を活用すると発表した。AIシステムは、2020年10月から稼働する。
金融犯罪は複雑化・巧妙化してきている。金融機関は、多くの情報の中から金融犯罪や不正を検知することを求められている。これに対して横浜銀行は、口座が金融犯罪に使われているかどうかを判断している。1次調査として、一定の条件に基いてリスクの高い預金口座取引を抽出。2次調査として、抽出した取引について担当者による調査を実施している。
横浜銀行は今回、詳細な調査が必要な口座を抽出する1次調査をAIに任わせるべく、NECのAI技術(異種混合学習技術)を活用したAIシステムを導入する(図1)。このAIシステムは、1次調査として、個々の取引のリスクの度合いをスコア付けする。これにより、人による詳細調査(2次調査)の対象となる口座数を減らすことができる。1次調査は、RPAソフトウェア「UiPath」を使って自動化する。
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サービス提供に先立ち、横浜銀行とNECは、2019年5月から2020年1月まで実証実験を実施した。この結果、詳細調査の対象となる口座数を、従来比で30~40%減少させることができた。また、人間では気づきにくい口座の動きをAIが認識し、リスクの高い口座として予兆的に認識できた事案もあった。金融犯罪の未然防止に寄与できるとしている。
なお、今回採用する異種混合学習技術は、データの中に規則性が複数存在する時に、これを自動で場合分けして予測モデルを算出する技術である。これにより、単一の規則性だけを発見して参照する従来のマシンラーニング(機械学習)では分析が困難な、状況に応じて規則性が変化するデータでも、高精度に予測や異常検出ができる。