[市場動向]
教師データなしでデータの特徴量を正確に捉える「DeepTwin」技術─富士通研究所
2020年7月14日(火)IT Leaders編集部
富士通研究所は2020年7月13日、AIを活用した検知・判断の精度を高める技術として、教師データなしでも高次元データの特徴量を正確に捉えることを可能にする「DeepTwin(ディープツイン)」を開発した。高次元のデータの、削減すべき次元数と次元削減後のデータの分布を、ディープラーニングで最適化する仕組みをとる。映像圧縮技術の研究で得た知見とディープラーニング(深層学習)を融合させた技術であると説明している。
富士通研究所が開発した「DeepTwin」は、AI活用時の検知・判断の精度を高めるための技術(図1)である。高次元データの、削減すべき次元数と次元削減後のデータの分布を、ディープラーニングで最適化する。同研究所が長年の研究で培った映像圧縮技術の知見とディープラーニング(深層学習)を融合し、教師データなしでもデータの特徴を正確に捉えることを可能にしたという。
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富士通研究所は高次元データについてこう説明している。「数学における空間の広がりを示す指標である次元は、私たち人間が生活しているx(幅)、y(高さ)、z(奥行)の3方向の広がりを表す3次元の空間のほか、点のみの空間である0次元から、通信データのような数十次元、画像データのような数百万次元など、さまざまなものが考えられる」。
データの次元数が増えると、データの特徴を正確に捉えるための計算の複雑さが指数関数的に増大してしまう。近年、これを回避する手法として、ディープラーニングを使って入力データの次元を削減する手法がとられている。
しかし、従来の手法では、削減した後のデータ分布や発生確率を考慮せずに削減していたため、データの特徴量を忠実に獲得できておらず、AIの認識精度の限界や誤判定が発生する問題があった。
富士通研究所は今回、映像圧縮技術の知見とディープラーニングを融合させることで、高次元データの削減すべき次元数と次元削減後のデータの分布をディープラーニングで最適化し、データの特徴量を正確に抽出できる技術としてDeepTwinを開発した(図2)。
同技術により、AIにおける重要な技術的課題の1つである、データの正確な分布や発生確率の獲得が可能となる。異常データ検知などさまざまなAI技術の判断精度向上に貢献できるとしている。
●Next:映像圧縮技術の研究から得た理論を適用
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