【Special】

Withコロナ時代におけるビジネス変革
─ローコード開発プラットフォームを展望

日本マイクロソフト株式会社

2020年7月28日(火)

新型コロナウイルスと共存していかざるをえないWithコロナの時代において、企業にはリモートを前提としたビジネスの体制を確立することが求められる。それは、アプリケーション開発も同様だ。在宅で働く業務部門のユーザーをオンラインでつないだ環境下で、現場目線のアプリケーション開発を活性化することにより、ニューノーマルに対応したサービスやビジネスを迅速に展開していくデジタル変革を推進することが可能となる。本稿では、そうした中で注目されているソリューションを、実際の活用例をもとに解説していく。

データの収集から解析・予測まで一気通貫したノンコーディングのアプリケーション開発を実現

 今般の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、多くの企業がオフィスの閉鎖を余儀なくされ、社員はテレワーク(リモートワーク)に移行して業務を継続した。その後、緊急事態宣言が解除された現在、社会は少しずつ落ち着きを取り戻し、通勤する社員の姿も数多く見られるようになってきた。

 ただし以前と同じオフィスでの働き方が可能となるわけではない。職場クラスターの発生を避けるためにも、しっかりソーシャルディスタンス(対人距離)をとって社員の安全・安心を確保しなければならない。そもそも新型コロナウイルスそのものが完全に終息したわけではなく、第2波や第3波の到来も危ぶまれている。

 今後の企業はある意味で新型コロナウイルスと共存していかざるをえない中でのニューノーマル(働き方や生活の新常態)を見据えながら、リモートを前提としたビジネスの体制を確立することが求められる。

 アプリケーション開発も例外ではない。以前のように開発者が1カ所に集まってアプリケーションを作ってきたスタイルから脱却し、それぞれの自宅で分散して働く開発者をオンラインでつないで連携させるスタイルへと移行していく必要がある。

 その上で企業はデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するために、アプリケーション開発をさらに加速していかなければならない。現状のIT部門やプロ開発者、システムインテグレーターなどの限られた人員と体制ではとても手が回らず、シチズンデベロッパー(市民開発者)と呼ばれる開発者を社内に育成し、ユーザー自身の業務や部門の生産性を向上させるアプリケーション開発のスピードアップを図っていく必要がある。

 こうした"Withコロナ"時代におけるアプリケーション開発にまつわる課題の解決策として、世界的に注目されているのが「Microsoft Power Platform」だ。いわゆるローコード開発ツールは他ベンダーからも数多く提供されているが、「それだけでは継続的なビジネス変革はなしえず、データに価値を見いだす必要がある」というのがマイクロソフトの主張であり、世界で唯一、データの収集から解析・予測まで一気通貫し、ノンコーディングにて実現可能なプラットフォームとして設計されていることがPower Platformの特徴だ。

 具体的にはPower Platformは、PowerPointと同じような操作性でアプリケーション開発を可能とする「Power Apps」をはじめ、ワークフローと業務プロセスをすばやく自動化する「Power Automate」、GUI上で柔軟かつ簡単に高度なチャットボットを作成する「Power Virtual Agents」、Excelなど現場のデータを横断的にリアルタイムに可視化・分析する「Power BI」といったツールで構成されており、アプリケーション開発をすべての社員に"民主化"することでビジネス変革のスピードを最大化する。

Microsoft Power Platformの概要(資料提供:日本マイクロソフト)
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新型コロナウイルス感染症対策の一環として東京都が開発した「健康管理アプリケーション」

 Power Platformを活用したアプリケーション開発は、企業のみならず自治体でも拡大している。

 例えば、新型コロナウイルス感染症対策の一環として東京都が開発した、軽症者の体調を管理する「健康管理アプリケーション」もその1つだ。

 東京都では、各医療機関が新型コロナウイルス感染症の入院治療に注力できるように、入院治療を必要としない軽症者をホテルなどの宿泊療養施設に受け入れている。しかし従来は看護師や職員が1日2回、検温結果などの体調を電話で入所者に確認し、そのデータを手作業でシステムに入力しなければならなかった。

 健康管理アプリケーションは、そうした看護師や職員の業務負担を軽減すべくPower Appsを使用して開発されたモバイルアプリで、入所者は検温結果などの自身の体調データをスマートフォンから簡単に報告できるようになった。

入所者用画面のイメージ(資料提供:日本マイクロソフト)
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 驚くべきはその開発スピードで、技術支援にあたった日本マイクロソフト クラウド&ソリューション事業本部 モダンワークプレース統括本部 Power Platform 技術営業本部 テクニカルスペシャリストの川原純一郎氏は、「アプリケーションのモックアップ(サンプルテンプレート)を東京都の開発担当に提供しました。わずか1週間ほどで実用レベルに仕上げ、4月30日より試験運用を開始しています」と語る。

日本マイクロソフト クラウド&ソリューション事業本部 モダンワークプレース統括本部 Power Platform 技術営業本部 テクニカルスペシャリストの川原純一郎氏(写真提供:日本マイクロソフト)

 さらに東京都は、試験運用中もこのアプリケーションのブラッシュアップを自力でどんどん進めており、実際にアプリを利用する看護師からも「昨日少し使いづらいなと思った部分が、今日はもう直っていて感激しました」という声が寄せられるなど、Power Appsならではのフットワークの軽さが最大限に生かされている。

 なおセキュリティについては、Azure ADによるユーザー認証およびPower Platform の標準データサービスであるMicrosoft Dataflex Pro(旧称:Common Data Service)による、厳重なアクセス権限の設定・運用が行われている。「入所者が閲覧できるのは自分の履歴のみで、看護師も担当する入所者のデータを違って消したり書き換えたりできない仕組みになっています」と川原氏は説明。あわせて、「アプリケーションを管理してガバナンスを確保しなければならないIT部門の負担軽減にも貢献しています」と強調する。

神戸市もPower Platformを活用し3つのサービスを開発

 もう1つ紹介しておきたいのが、神戸市の取り組みだ。Power Platformを活用することで、「新型コロナの健康相談チャットボット」「新型コロナ発生状況のデータ公開サイト」「特別定額給付金の申請状況等確認サービス(住民ポータル)」という3つのサービスを開発し、157万人の住民に公開したのである。

マイクロソフトコーポレーション カスタマーアドバイザリーチーム シニアプログラムマネージャーの吉田大貴氏(写真提供:日本マイクロソフト)

 ボランティアとしてこのプロジェクトの立ち上げから関わってきたマイクロソフトコーポレーション カスタマーアドバイザリーチーム シニアプログラムマネージャーの吉田大貴氏は、「神戸市の情報化戦略を担っている職員が、一人で試行錯誤しながら、3つのサービスをほぼ自力で開発されました。しかもそこで費やした期間は、それぞれ1週間程度です」と語る。

 これらのアプリケーションによって得られた効果も絶大だ。

 新型コロナの健康相談チャットボットは「Power Virtual Agents」をベースに開発されたもので、コールセンターに相談する前のセルフチェックやかかりつけ医や案内まで行うことができる。5月20日から運用を開始し、1日あたり約400件の利用があるという。

 新型コロナ発生状況のデータ公開サイトは、もともとあった情報提供サイトをPower BIを活用して大幅に刷新したもので、これまでバラバラに提供されていた新型コロナウイルス感染関連の情報をダッシュボードに統合。よりリアルタイムな情報提供が可能となり、住民も必要な情報にたどりやすくなったことから6月1日の運用開始以降、アクセス数は1日あたり約13万件に達している。また、ダッシュボードを更新する際のデータ取得・加工・可視化までの一連の作業を自動化し、IT部門の業務効率化と省力化を実現している。

 そして特別定額給付金の申請状況等確認サービスは、ピーク時には日々4万件もの問い合わせが殺到していた、コールセンターの負荷軽減を実現した。5月29日の公開開始以降、1日あたり約3万5000件のアクセスがあり、コールセンターの問い合わせを3000件程度にまで減らすことができたという。

神戸市が開発したシステムの構成図。Power Platformにより神戸市職員が構築している(資料提供:日本マイクロソフト)
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 「従来の競争入札を原則とする行政の購買・調達プロセスでは、同様のアプリケーションを開発するまでには最低でも数カ月の期間を要したと思われます。簡単なアプリケーションについては自分たちで内製し、アジャイル開発のサイクルを完結させることで公開までのリードタイムを短縮し、ひいては住民が望むサービスをよりスピーディーに提供していくという取り組みは、神戸市だけでなくほかの自治体の間にもどんどん広がっていくと予想しています」と吉田氏は、今後に向けた展望を示す。

あらゆるビジネスパーソンにとっての必須ツールとして定着していく

  Power Platformは、自治体や企業におけるアプリケーション開発のありかたを大きく変えていくことになりそうだ。

 「Power Platformを手にしたお客さまは、あたかもPowerPointでプレゼン資料を作成するような感覚で、Officeソフトを普通に使えるスキルがあれば、誰でもアプリケーションを作れることを実感していただけます。また、業務側のエンドユーザー自身でのアプリケーション開発が広がれば、そのぶんIT部門の開発負担や調達コストを下げることができます」というのだ。

 一方で、業務側でのアプリケーション開発が可能になれば、それを管理するIT部門の負担が増大することも懸念されているが、Power Platformでは、その対策もきちんと行われている。

 「業務側で行われるさまざまなアプリケーション開発を、IT部門が個別に管理する必要はありません。Power PlatformではCenter of Excellence(CoE)のスターターキットを提供しているため、どの部門の誰が、どんなアプリケーションを作って運用しているのか、それらはセキュリティポリシーを満たしているのかといった状況を可視化し、自動的に監視することができるのです。IT部門としてのガバナンスを、しっかり働かせることができます」(川原氏)。

 「Power Platformはそれほど高いITスキルをもたないエンドユーザーだけでなく、IT部門やプロ開発者にとっても有益なツールとなります。あらゆるアプリケーションをスクラッチ開発していた常識を払拭し、簡単なアプリケーションはできるだけ短期間で手離れさせて、より高度なアプリケーションの企画や開発、新たなデジタル戦略の策定などに専念できるようになるからです。その意味でもPower Platformは、すべての開発者を対象としたソリューションなのです」(吉田氏)。

ガバナンスを利かせた形でアプリ開発者を増やし、企業・団体における生産性を向上させることが可能だ(資料提供:日本マイクロソフト)
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 実際、日本国内においても2万数千人といった全社規模でPower Platformを活用し、ビジネス変革を推進する企業も現れているという。

 こうした動向をとらえれば、今後 Power PlatformはOffice製品と同様にあらゆるビジネスパーソンにとっての必須ツールとして定着していく可能性が高い。そしてスキルアップやキャリアを示す指標としても、Power Platformを活用した開発経験が問われるようになる。そんな時代が間もなく到来することになりそうだ。


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