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[市場動向]

IoTデータ通信のセキュリティ確保にブロックチェーンを活用─トッパン・フォームズとKeychain

2020年8月25日(火)IT Leaders編集部

トッパン・フォームズとKeychainは2020年8月24日、IoTデバイスのデータ通信における機器認証にブロックチェーン(分散台帳)技術を活用し、高速・軽量な認証基盤を構築する実証実験で、セキュリティ確保に関する有効性を確認したと発表した。ブロックチェーンを活用することで、IoTデバイスのデータ通信でのセキュリティ確保を高速・低コストで実現できるという。

 トッパンフォームズとKeychainは、2020年4月1日に戦略的パートナーシップ契約を締結し、IoT分野におけるブロックチェーンの活用について取り組みを進めている。

 最初の取り組みとして、トッパン・フォームズ関西の大阪桜井工場で行われている「感情・ストレス分析サービス」の実証実験で、ウェアラブルデバイスからバイタルデータを収集するIoTゲートウェイと、クラウドとの間の通信でセキュリティを確保する実証実験を行った(図1)。

図1:ブロックチェーンでIoTデータ通信のセキュリティを確保した実証実験の概要(出典:トッパン・フォームズ)図1:ブロックチェーンでIoTデータ通信のセキュリティを確保した実証実験の概要(出典:トッパン・フォームズ)
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 認証管理のみをブロックチェーンに記録、その他のデータは暗号化しインターネットを介して送信することで、高速・軽量な認証基盤と、端末レベルでのセキュリティを確保きることを確認した。認証基盤の構築には、様々なブロックチェーン基盤上で利用できるアプリケーション開発フレームワーク「Keychain Core」を用いた。

 確認したブロックチェーンの有効性は、以下の通り。

  1. ブロックチェーン上にはデータは記録せず、認証の管理のみ行うため、高速・軽量なアプリケーションを開発できる。IoTゲートウェイのような低スペックなデバイスにも組み込める
  2. データは暗号化し、機器認証のみをブロックチェーンで管理するため、取引内容を開示せずに安全なデータ通信を行える
  3. データはブロックチェーンで管理しないため、対象となるIoTデバイスが増加しても負荷を急上昇させずに、セキュリティを確保できる

 背景について同社は、近年、IoTデバイスを標的としたサイバー攻撃が増加傾向にあり、その普及とともにセキュリティ対策の重要性が高まっていることを挙げている。「現状では、企業や団体が行っているセキュリティ対策はデータを取り扱う最上位層であるクラウドが中心となっており、下位層のIoTデバイスへのセキュリティ対策が課題になっている」という。また、既存のシステムではデバイス数に比例して負荷が上昇するため、高速・軽量で低スペックなIoTデバイスにも組み込み可能なアプリケーションが求められるとしている。

 トッパンフォームズとKeychainは今後、IoTセキュリティの機能拡充やウェアラブルデバイスの高付加価値化を支援する機能の開発を継続し、データ活用サービスを提供する考えだ。

 Keychainは、デジタル世界で必要なデータ信頼性を提供する。ブロックチェーン技術を活用したデータ整合性の向上、管理コスト削減のほか、金融、製造業、医療など様々な分野で新規事業を支援する。同社の技術は、シンガポール銀行協会から「Global Fintech Award」、日本では経済産業省主催の「IoT推進ラボ」で「審査員特別賞」を受賞している。

 Keychain Coreは、様々なブロックチェーン基盤上で利用できるアプリケーション開発フレームワークである。ブロックチェーン上でデータセキュリティとIdentity基盤を実装できる。既存のインフラやアプリケーションと簡単に統合でき、ウェアラブルデバイス、スマートフォン、PC、スマートウォッチなど、デバイスを問わず対応できる。

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