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三菱総研DCS、COBOL基幹バッチを小規模な分散処理で20倍に高速化する実証実験

2020年12月3日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)

三菱総研DCSは2020年12月3日、COBOLによる基幹バッチ処理を並列分散処理で高速化する実証実験を行い、約20倍の高速化に成功したと発表した。バッチ処理用のJavaフレームワーク「Asakusa Framework」および実行基盤「M3 for Batch Processing」を使い、サーバー1台だけでバッチ処理を高速化した。この成果は、基幹バッチを並列分散処理で高速化するクラウド型の基盤サービスとして、2021年の提供を目指す。

 三菱総研DCSは、バッチ処理が長時間化しているCOBOL基幹システムを対象に、サーバー1台で利用可能な並列分散処理技術を用いて処理を高速化する実証実験を実施した(図1)。実験の結果、従来の環境で6時間(6時間15分58秒)かかっていたバッチ処理の本処理を、並列分散処理環境では17分(17分16秒)で終えた。約20倍の高速化に成功した。

図1:実証実験のミドルウェア/ソフトウェアスタック(出典:三菱総研DCS)図1:実証実験のミドルウェア/ソフトウェアスタック(出典:三菱総研DCS)
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 検証のポイントの1つは、サーバー1台(単一ノード)の構成で約20倍に高速化できたことである。HadoopやSparkなどを用いた大規模な並列分散処理基盤がない場合でも、処理を高速化できることを検証した。もう1つのポイントは、COBOL統合開発環境の活用によって、既存のCOBOLソースコードの約63%を修正なく再利用できたことである。COBOLプログラムの分散処理化にかかる開発コストを抑えられることを検証した。

 検証に用いたミドルウェアは、分散処理によってバッチ処理を高速に処理するためのJavaフレームワーク「Asakusa Framework」(ノーチラス・テクノロジーズが提供)と、Asakusa Frameworkで利用できる小規模バッチ処理実行基盤「M3 for Batch Processing」である。COBOL統合開発環境には「Micro Focus Visual COBOL」(マイクロフォーカスが提供)を使った。

 なお、Asakusa Frameworkは、バッチ処理を簡単にHadoopで実行できるようにするフレームワークである。バッチ処理用のDSL(目的別の上位言語)で記述したソースコードを元に、Hadoopの独自処理(MapReduce処理)を実施するJavaコードを自動生成できる。

 M3 for Batch Processingは、サーバー1台(単一ノード)での処理に特化することで、高速かつ安価な分散処理システムを構築できる並列分散バッチ処理基盤である。HadoopやSparkは大規模システムに向くが、M3 for Batch Processingは数GBから数十GB程度の小規模~中規模程度のシステムに向く。

 Asakusa Frameworkは、バッチ実行基盤としてM3 for Batch Processingを使うことができる。Asakusa Frameworkで記述したHadoopやSpark向けのバッチ処理を、M3 for Batch Processingを使ってサーバー1台(単一ノード)で高速に処理できる。小規模~中規模のデータに対しては、サーバー1台でありながらもSparkよりも高い性能を実現できる、としている。

 開発の背景について三菱総研DCSは、レガシーモダナイゼーションが進む一方、メインフレームと比べて処理性能が低下しやすいことや、プログラムをオープン系言語で再開発するコストが高くなることといった課題を挙げている。こうした経緯から同社は、オープン系システムでも低コストで高速処理可能なバッチ処理基盤のサービス化を検討していた。

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三菱総研DCS / Asakusa Framework / COBOL / レガシーマイグレーション / ノーチラス・テクノロジーズ

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