[市場動向]

NICT、マルチモード光ファイバーで毎秒1ペタビット超伝送実験に成功

2020年12月21日(月)IT Leaders編集部

国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は2020年12月17日、NICTネットワークシステム研究所が米NOKIA Bell Labs(ベル研)、伊Prysmian Groupらと共同で、シングルコア・15モード光ファイバーを用い、世界で初めて毎秒ペタビット超伝送実験に成功したと発表した。製造技術が容易なマルチモード光ファイバーによる、高密度大容量伝送技術の高度化が期待できるとしている。

 この伝送実験は、NICTネットワークシステム研究所ラーデマッハ・ゲオルグ・フレデリック研究員らのグループが、米NOKIA Bell Labs(ベル研)のNicolas K. Fontaine研究員、伊Prysmian GroupのPierre Sillard研究員らと共同で実施したもの。

 これまで光ファイバーの大容量化の研究では、受信側のモード分離と信号処理が難しく、モード数が多い研究は進んでいなかった。今回、広帯域波長多重技術と多重反射位相板による小型・低損失・高精度のモード合波器/分波器を用いることで、モード数が多い信号処理が可能となり、15モードでの毎秒ペタビット超、23km伝送に成功した(写真1)。

写真1:伝送実験システムの一部(出典:情報通信研究機構)写真1:伝送実験システムの一部(出典:情報通信研究機構)
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 Prysmianのシングルコア・15モード光ファイバー、NICTの広帯域波長多重技術、およびベル研の多重反射位相板によるモード合波器/分波器を利用し、 NICTが伝送システムを構築した。マルチモード光ファイバーで毎秒1ペタビットを超えるのは世界で初めてで、これまでの世界記録の約2.5倍になる。

 マルチモード光ファイバーは、マルチコア光ファイバと比較して、信号収容密度が高く製造技術が容易で、高密度大容量伝送が期待できる。しかし、モード数が多くなるとモード多重伝送用の合波器/分波器が巨大化し、受信側ではモード分離後の信号品質が劣化するうえ、速度差を補正する処理が増大する問題があった。

 今回、遅延時間を最適化設計した15モード光ファイバーと多重反射位相板による小型・低損失・高精度のモード合波器/分波器を用いることで、15というモード数の多さでもモード分離後の信号品質を保ち、広帯域にわたるMIMO処理を実現した。その結果、広帯域382波長、偏波多重64QAM信号のモード分離に成功し、大容量伝送が可能になった。

 NICTは、信号収容密度が高く、製造技術が容易なシングルコア・マルチモード光ファイバーによる大容量伝送成功により、将来の高密度大容量伝送に向けたマルチモード伝送技術の高度化を期待できるとしている。

 なお、同実験結果の論文は、第46回欧州光通信国際会議(ECOC2020)で、「最優秀ホットトピック論文(Post Deadline Paper)」として採択されたという。

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NICT、マルチモード光ファイバーで毎秒1ペタビット超伝送実験に成功国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は2020年12月17日、NICTネットワークシステム研究所が米NOKIA Bell Labs(ベル研)、伊Prysmian Groupらと共同で、シングルコア・15モード光ファイバーを用い、世界で初めて毎秒ペタビット超伝送実験に成功したと発表した。製造技術が容易なマルチモード光ファイバーによる、高密度大容量伝送技術の高度化が期待できるとしている。

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