統計解析/アナリティクスベンダーの米SAS Instituteがクラウドソリューションへの注力を強めている。現行主力製品の「SAS Viya 4」を含むSAS CloudソリューションとMicrosoft Azureとの連携を強化し、ユーザー側で加速するクラウドシフトの動きに応えようとしている。現在のSASは、どのような戦略をもって日本国内のユーザーに「分析のクラウドシフト」の価値を提供しようとしているのか。同社の発表やSAS Institute Japanへの取材を基に整理してみる。
SAS CloudとMicrosoft Azureの連携強化
2020年6月、米SAS Instituteは同社のプライベートコンファレンス「SAS Global Forum 2020」の会期中、米マイクロソフトとのパートナーシップ締結を発表し、「Microsoft Azure」がSAS Cloudソリューションの推奨プラットフォームに位置づけた(図1)。
図1:SASはクラウドソリューションに軸足を移し、Microsoft Azureが推奨プラットフォームとして位置づけられている(出典:SAS Institute Japan)拡大画像表示
オフィススイートの「Microsoft 365」やCRMアプリケーションの「Microsoft Dynamics365」、ローコード開発ツールの「Microsoft Power Platform」といったマイクロソフト/Azureのクラウド製品群との連携が図られている。また、データ分析/AIプラットフォームの現行バージョン「SAS Viya 4」は、Azure Marketplaceから提供される。さらに今後、SASの業務特化ソリューションとAzureが提供する各種サービスとの統合も進めていく計画だという。
こうして、SASはアナリティクスのクラウド化に本腰を入れている。日本国内のユーザーに向けたメッセージアウトとして、SAS Institute Japanは2020年11月開催の「SAS FORUM JAPAN 2020」のゲストスピーカーに、日本マイクロソフト 代表取締役社長の吉田仁志氏を招いた。2015年までSAS Institute Japanの社長を務めていた吉田氏は、両社の提携の意義と顧客にもたらすメリットを訴えた。「SASアナリティクスの基盤を、世界中で利用できるAzureプラットフォームに移行することで、高度で複雑な分析を柔軟で、ハイパフォーマンスな環境で実行できるようになる」(吉田氏)
かねてからSASは「分析の民主化」を掲げ、日常業務での分析の必要性を訴えている。吉田氏は今回のコロナ禍で日本のデータ活用の遅れを指摘したうえで、「今後はデータ駆動型の意思決定ができるようにする必要がある」と強調した。
SASの“クラウド歴”は実のところ長い。すでに2000年から一部のツールをクラウド(SaaS)で提供しており、現在は日本を含む世界73カ国にクラウドの顧客を擁する。導入業種は製薬業界や金融を中心に、官公庁、流通小売、製造業など多岐にわたる。
SAS Institute Japan 代表取締役社長の堀田徹哉氏(写真1)は、「マイクロソフトとの提携強化で、普段はオフィススイートを多用している業務担当者も、SASのソリューションを組み込んだアプリケーションを活用できるようになる。両社には顧客のDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させるという共通のビジョンがあり、今回のパートナーシップ締結はそれを具現化するものだ」と説明する。
写真1:SAS Institute Japan 代表取締役社長の堀田徹哉氏●Next:Kubernetesベースで刷新されたViya 4がもたらすメリットは?
会員登録(無料)が必要です
- 1
- 2
- 次へ >
-
AI時代の“基幹インフラ”へ──NEC・NOT A HOTEL・DeNAが語るZoomを核にしたコミュニケーション変革とAI活用法
-
加速するZoomの進化、エージェント型AIでコミュニケーションの全領域を変革─「Zoom主催リアルイベント Zoomtopia On the Road Japan」レポート
-
14年ぶりに到来したチャンスをどう活かす?企業価値向上とセキュリティ強化・運用効率化をもたらす自社だけの“ドメイン”とは
-
-
-
-
生成AIからAgentic AIへ―HCLSoftware CRO Rajiv Shesh氏に聞く、企業価値創造の課題に応える「X-D-Oフレームワーク」
-
-
-
「プラグアンドゲイン・アプローチ」がプロセス変革のゲームチェンジャー。業務プロセスの持続的な改善を後押しする「SAP Signavio」
-
BPMとプロセスマイニングで継続的なプロセス改善を行う仕組みを構築、NTTデータ イントラマートがすすめる変革のアプローチ
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-





