日本オラクルは2021年2月12日、説明会を開き、データベースサーバーソフトウェアの現行新版「Oracle Database 21c」の新機能を紹介した。21cでは、ストアドプロシージャをJavaScriptで記述できるようにしたほか、データの改竄がないことをブロックチェーンで保証する機能などを追加している。同社は他社製品と比べたOracle Databaseのメリットとして、各種のデータタイプを統合して単一のSQLでアクセスできるようにした“コンバージドデータベース”のコンセプトをアピールした。
日本オラクルの「Oracle Database 21c」は、オラクルのRDBMSの現行バージョンである。発表時点では、Oracle Cloudで利用できる。無料で試せる「Oracle Cloud Free Tier」も用意している。オンプレミス版(Linux版、Windows版、Exadata)については、後日提供する予定である。
Oracle Database 21cでは、216の新機能を追加した(図1)。なお、ミッションクリティカルな業務システムには長期のサポートが重要であることから、1つのバージョンを長く使いたいユーザーに向けて、Oracle Database 21cで追加した新機能をOracle Database 19cでも使えるように準備している。
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ストアドプロシージャをGraalVM JavaScriptで記述可能に
21cの新機能の1つが、データベースサーバー側でデータ処理ロジックを記述して実行できるストアドプロシージャ(STP)の開発言語を増やしたことである。新たに、JavaScriptで記述できるようにした。JavaScriptの実行エンジンとして、汎用ランタイムのGraalVMを使う。これにより、PL/SQL、Java、JavaScriptの3つの言語でストアドプロシージャを記述できるようになった。
データが改竄されていないことを保証するブロックチェーンテーブルも実装した。データを暗号化して電子署名をチェーン化する仕組み。電子署名によってデータの正当性をチェックできる。ユーザーやアプリケーションからは、通常のデータベーステーブルとしてアクセスできる。
マシンラーニング(機械学習)も実装した。データベースにアクセスするアプリケーションに予測機能を追加できる。アプリケーションに必要なマシンラーニングのアルゴリズムをOracle Databaseに組み込んで提供する。アプリケーションの中でデータ入力の推奨値を提示したり、不正なデータを検知したりできる。
ストレージアクセスによる性能のボトルネックを排除する策として、DIMM型不揮発性メモリー「Intel Optane DC Persistent Memory」も使えるようにした。OSやネットワークのソフトウェアスタックをバイパスするRDMAと組み合わせて利用することで、レイテンシを減らし、より高いスループットを実現する。
目的別の複数のデータベースを統合してSQLでアクセス
説明会では、21cで追加した新機能のほかに、“コンバージドデータベース”というコンセプトをアピールした。用途別に分かれていた各種のデータベースを1つに統合して、これを単一のSQLインタフェースでアクセスできるようにしている。
「アプリケーションから見たら、目的別のデータベースはナンセンスだ」と、日本オラクル社長の三澤智光氏は指摘する。
「現在は、様々なデジタルデバイスから、それぞれに応じた目的別のデータベースにアクセスしている。これらはすべてインタフェースが異なっている。これに対してOracle Databaseは、目的別のデータベースをプラガブルな形で統合し、SQLでアクセスできるようにしているとアピールしている」(同社)。
Oracle Database / ストアドプロシージャ / Oracle / JavaScript / Exadata / RDBMS
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