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JALサンライト、航空券の審査業務などをRPAで自動化、現場担当者みずからロボットを開発

2021年2月25日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)

日本航空(JAL)における障害者雇用促進法の特例子会社であるJALサンライトは、JALから受託する業務を自動化・効率化するため、2019年にRPA(ロボットによる業務自動化)を導入した。現場の担当者みずからロボットを開発している。現在までに約30のワークフローを開発した。RPAソフトウェア「UiPath」を提供するUiPathが2021年2月25日に発表した。

 JALサンライトは、親会社のJALから受託する業務を自動化・効率化することを目的に、2019年にRPAソフトウェアのUiPathを導入した。JALの収入会計を行うための航空券処理業務を担当している収入管理センターにおいて、現場担当者みずからロボットを開発して導入した。

 収入管理センターでは、通常時(コロナウイルス感染症がまん延する以前)に、1日に10万件以上の航空券を処理している。このうち、すべてがシステムで自動処理できるわけではなく、自動で処理できない航空券もある。こうした航空券については、担当者が目視で確認し、手作業で修正していた。これを自動化した。

 JALサンライトのRPAへの取り組み方の特徴は、IT技術者ではない現場スタッフみずからUiPathを使ってロボットを開発していることである。スタッフ同士が相互に開発を支援したり、作成したロボットを紹介したり、アイデアを共有したりする場として「ロボット研究会」と呼ぶ会議を開催している。

 UiPathのスキルを身につけるため、2019年5月に現場スタッフ10数人がオンライン学習サービス「UiPathアカデミー」でトレーニングを受講した。約1カ月後の2019年6月ごろから、各現場スタッフみずから収入管理業務に関するワークフロー業務のロボットを開発した。

航空券の発売報告や無効化航空券の審査をRPAで省力化

 JALサンライトはこれまでに、以下のような業務の自動化に取り組んだ。

(1)国内発売報告審査業務の自動化
 国内発売報告審査業務は、空港などで発券したすべての航空券が「発売報告」として正しく報告されていることを審査する業務である。従来は、空港で使っている予約発券システムが紙面で出力した発売報告書を、1つ1つ人の目で見て審査していた。確認すべき発売報告書は、毎日300カ所超の事業所から、日によって1000ページ以上になることもある。

 今回、UiPathによって、空港の予約発券システムから収集したデータから自動での処理が行われていない航空券、すなわち人の目で審査が必要な航空券データだけを抽出し、収入管理システムから出力したCSVデータと照合する業務を自動化した。ロボットでは判断できない高度な判断が必要な処理だけを人間が行う形態にしたことで、毎月360時間程度を要していた業務の所要時間を約5分の1に短縮した。

(2)余剰券審査業務の効率化
 フライトイレギュラーが発生した際、顧客に他の輸送機関での移動を依頼するケースがある。この場合、顧客の航空券を無効化し(無効化処理した航空券を「余剰券」と呼ぶ)、余剰券を収入管理センターに送付する。余剰券の審査では、無効化処理した航空券データの中から余剰券を抽出し、収入管理センターに送られてきた余剰券と照合する。

 従来は、送られてきた余剰券1つ1つを予約発券システムで手作業で確認していた。この作業に、毎月4時間程度を要していた。RPAの導入によって、処理時間を約3分の1に削減できた。

(3)MISC被請求インボイスのダウンロード業務を自動化
 航空会社は、乗継旅客や貨物の搭乗/搭載に関して、他の航空会社との精算を行う。これ以外にも、グランドハンドリング受委託やハンガー賃借などの精算も含め、まとめて航空会社相互での精算を行うBSP(Billing & Settlement Plan)と呼ぶ仕組みがある。旅客・貨物以外の精算は、MISC精算と呼ばれる。MISC精算は、JAL社内で多くの部署が関係しており、それぞれの部署に必要な精算明細を提供する業務も収入管理センターで担当している。

 精算に関する明細は、専用Webサイトでダウンロードできるが、データを取得するには専用Webサイトでダウンロードのリクエストを投入し、登録しているメールアドレスに送られてくるURLから1件ずつダウンロードする必要がある。

 1つのデータ取得に要する作業は1分もかからないが、毎月約280件のダウンロードが必要で、従来は30分以上の時間を要していた。RPAで自動化したことによって、約4分の1の時間で処理を完了できるようになった。

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