[市場動向]

FinOpsとは何か─パブリッククラウドの投資効果を最大化する取り組み

2021年4月9日(金)西浦 詳二(SoftwareONE Japan シニア・ダイレクター/FinOps Certified Practitioner)

「想定したよりもコストがかさむ」「統制が効きにくい」──AWSやMicrosoft Azure、GCPなどのパブリッククラウドサービスの利用が進むに伴って、クラウド利用時のコストに帯する課題意識も高まっている。そんな中で、読者は「FinOps」というイニシアチブがあるのをご存じだろうか。これは、クラウドがもたらす多くの利点、例えばイノベーションの促進、柔軟な構成変更、新しいトレンド導入が容易であるなどを妨げることなく支出をコントロールする枠組みを啓蒙推進する取り組みだ。FinOpsコミュニティの活動が何を目指しているのか、クラウド活用・管理の実務に携わる筆者の視点を交えて紹介する。

 FinOps(フィンオプス)とは、パブリッククラウド(以下、単にクラウドとする)クラウドの支出(投資、コスト)に関して従来型ITとの違いに着目して、その最適化を図る種々のアプローチによって、支出に対するアカウンタビリティの確立を目指すという活動である。

 2019年2月にFinOps Foundation(https://www.finops.org/)という非営利団体が発足し、2020年6月にはLinux Foundationに合流、その1プロジェクトとしての活動で現在に至っている。クラウドが黎明期だった2012年頃、クラウドの支出に関する課題意識を共有する先進的なメンバーが始めた活動に端を発している。現在、ニーズの高まりと共に、関わるメンバー数も勢いを持って増加している。

 FinOpsはどんな活動で、何を実現しようとしているのか。具体的には、ITシステムの構築に際して、投資判断の後に調達を行い長期的・固定的に減価償却する従来型のモデルから、コンサンプション(消費)型で、柔軟に高い頻度で支出をコントロールできるクラウドの特性を最大化できるよう、スピード、コスト、品質のトレードオフのバランスをうまく取るための枠組みを構築することを目指している。特に、クラウド特有の高い頻度での支出コントロールを行うタイムスパンとして、年、月から1時間、そしてさらに短時間までを想定している。

 図1は、FinOps FoundationによるFinOpsの基本を示したインフォグラフィックスである。ここにあるように、活動の根幹として以下、6つの原則を掲げている。

図1:FinOpsの基本を示したインフォグラフィックス(出典:FinOps Foundation)
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(1)チームは協働が必要である
(2)クラウド導入のビジネス価値を追求する
(3)皆がクラウド利用のオーナーシップを持つ
(4)活動のレポートはオープンかつ迅速に行う
(5)集権的なチームが運用する
(6)柔軟なクラウドのコストモデルを追求する

 そのうえで、以下の指針をもって、クラウドの支出アカウンタビリティをもたらすことを目指している。

●手法、実例、カルチャーシフトなどに関する具体的な方策を提示
●組織内のステークホルダーは製造、財務、事業企画の各部門
●コスト削減にとどまらない、ビジネス価値の向上を目指す

 FinOpsは、国際規格のように準拠すべきルールを策定し提供するものではなく、理論的な枠組みというよりも、ユーザーにとっての実利を追求するためのナレッジ、ノウハウを明らかにしていくことに活動の主眼を置いている。

●Next:ユーザーが直面するクラウドの課題に対処する実践

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