サントリービールは、ビール工場「サントリー〈天然水のビール工場〉京都」に新設する缶充填ラインに、AIを活用した異常予兆検知システムを導入する。2022年5月下旬から稼働する予定である。制御システムで管理している電流値や電圧値など約1500のセンサー同士の関係性を自動的に発見し、関係性に変化が起きた際にアラームを出すことで、設備の異常を予兆段階で検知する。システムの中核として、NECの異常予兆検知システム「NEC Advanced Analytics - インバリアント分析」を利用する。NECが2022年2月18日に発表した。
サントリービールは、ビール工場「サントリー〈天然水のビール工場〉京都」において2022年4月に新設する缶充填ラインに、AIを活用した異常予兆検知システムを導入する(写真1)。設備の異常を予兆段階で検知するシステムであり、同年5月下旬から稼働する予定である。
写真1:充填機の外観(出典:NEC)拡大画像表示
異常予兆検知システムは、制御システムで管理している電流値や電圧値など約1500のセンサー同士の関係性を自動的に発見し、関係性に変化が起きた際にアラームを出す(図1)。システムの中核として、NECのソフトウェア「NEC Advanced Analytics - インバリアント分析」を利用する(関連記事:NEC、システム異常を検知する“インバリアント分析”をソフトパッケージ化して提供)。
図1:ビール工場「サントリー〈天然水のビール工場〉京都」の缶充填ラインに導入する、AIを活用した異常予兆検知システムの概要(出典:NEC)拡大画像表示
従来、大量生産を行う製造現場の生産ラインでは、現場担当者が設備のセンサーデータを活用して、しきい値による監視を中心に行っていた。しかし、個々のデータの微細な変化を捉えるためには経験やノウハウが必要であり、これらの継承が課題だった。サントリービールは今回、これらの課題を解決するため、設備の異常をAIで検知するシステムを導入した。
導入するシステムは、PLCなどの制御システムを通じて、設備に設置している多数のセンサーから大量の時系列データを収集して分析し、センサー間の不変的な関係性(インバリアント)をモデル化する、さらに、ここから予測できるデータの変化と実際のデータを比べることで、「いつもと違う」状態を予兆段階で検知する。
ホワイトボックス型AIの特徴を生かし、「どこが、どのような理由で異なるのか」といった、保全現場でのアクションに必要な情報を提供する。また、新たな試みとして、充填機を設置している部屋内にマイクを設置し、いつもと違う音の特徴を見ることによって早期の異常検知が可能かどうかを検証する。
なお、モデル化にあたってシステムに入力する情報は、相関関係を見たいセンサー情報と、センサーが「いつもの状態」として正常稼働していた時間だけで済む。このため、現場担当者自身で簡単に設定可能である。
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