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「DX推進にはパスファインダーが必要だ」─AWSジャパンがデジタル人材育成プログラムと先行事例を紹介
2022年4月12日(火)神 幸葉(IT Leaders編集部)
アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は2022年4月11日、説明会を開き、デジタル人材育成に関する同社の方針と提供するプログラムについて紹介した。同日提供開始のデジタル人材育成包括支援プログラム「AWS Skills Guild」の説明に加えて、デジタル人材育成の先行事例として、凸版印刷、弥生、三井住友トラスト・ホールディングスの取り組みを紹介した。
国内30万人にクラウドトレーニングを提供
AWSジャパンはこれまで、ITエンジニアにとどまらず、ビジネスパーソンや学生も含む幅広い層に向けたIT人材育成に取り組んできた。この5年間、同社が国内でクラウド関連スキルトレーニングを提供した合計数は30万人に上る。
とはいえ、国内全体では依然としてIT人材が大きく不足しており、デジタルトランスフォーメーション(DX)もままならない状況にある。2022年2月に政府が発表した「デジタル田園都市国家構想」では、今後5年間で230万人のデジタル人材を確保することを掲げている。
AWSジャパン 代表執行役員社長の長崎忠雄氏(写真1)は、米AWSのCEO、アダム・セリプスキー(Adam Selipsky)氏が年次イベント「AWS re:Invent」で強調したキーワード「パスファインダー(Pathfinders:道を切り拓く者)」を挙げて、次のように述べた。
「DXを加速させるために、日本は欧米にはない独自のビジネスカルチャーの中で、IT事業を牽引していくパスファインダーを育成する必要性がある。そのために重要なのは、組織トップのIT人材育成に対する理解と行動である」
デジタルスキルのニーズが高まるも、計画策定の企業はわずか18%
取り組みの背景を示すかたちで、AWSジャパンは同日、調査レポート「日本とAPACの変化し続ける労働環境におけるデジタルスキルとその重要性」を発表している。デジタルスキルを活用する日本国内の技術職/非技術職の1032人と、企業・組織3312社を対象に実施したユーザーのITスキル/意識調査である。
同レポートによると、調査対象となった労働者全体の78%がコロナ禍でより多くのデジタルスキルが必要になったと回答している。また、デジタルスキルトレーニングを必要とする日本の労働者数は、2023年には2630万人と労働力の39%を占める予測だが、実際にスキル習得支援の計画を策定している企業は全体の18%にとどまる(図1)。
一方で、すでにデジタルスキルトレーニングに投資する企業・団体は、75%が売上の伸長、84%が従業員の生産性向上、75%がイノベーションのサイクルが迅速になったと回答している。
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学び続ける組織文化の醸成に向けた支援
AWSジャパンは高まるデジタルスキルのニーズに応えるため、IT人材、非IT人材、学生のそれぞれに向けた各種のトレーニングプログラムを提供している。
●IT人材向け:AWSオンラインクラスルームトレーニングとして、ニーズやレベルに合わせたコースを設定。AWS認定資格の受験を通じて専門性を高めることが可能。
●非IT人材向け:3時間のセッションを通じてAWS主要サービスなどを学ぶ「AWSome Day」、IT専門用語を学ぶ「Cloud Practitioner Essentials for Entry」のコースを設定。
●学生向け:教材やトレーニング環境などの提供とセットでマシンラーニング(機械学習)を実践できる学生向けコンテスト「AWS DeepRacer Student」や、高等教育機関と連携した「AWS Academy」などを提供し、資格取得やクラウド関連企業への就職を後押しする。
さらに、全対象者向けトレーニングとして、eラーニングプラットホーム「AWS Skill Builder」も提供している。AWSジャパンは、2025年までに2900万人に無料のクラウドコンピューティングスキルトレーニングの提供を目指すという。
また、国内のトレーニングパートナー14社が提供しているクラスルーム型トレーニング、顧客とAWSパートナーが共に3カ月にわたるBizDevOpsトレーニングに参加するワークショップ、「ANGEL Dojo(AWS Next Generation Engineer Dojo)」など多角的に人材育成の取り組みを進めている。
●Next:デジタル人材育成の先行事例─凸版印刷、弥生、三井住友トラストHD
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