[事例ニュース]
NTT東日本-南関東、工事現場向けアプリをノーコードで開発、ノウハウ継承や現場報告を効率化
2022年6月16日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)
NTT東日本-南関東は、工事現場向けのモバイルアプリケーション「“匠の技”記録アプリ」を開発し、年間1000時間の業務工数を削減した。経験者が持つノウハウを継承する機能と、現場の状況報告を効率化する機能を備える。プログラミング経験のない社員が、ノーコードのモバイルアプリ作成ツール「Platio」を使って2日で作成したという。Platioを提供するアステリアが2022年6月16日に発表した。
NTT東日本の地域子会社であるNTT東日本-南関東(本社:東京都港区)は、工事現場向けのモバイルアプリケーション「“匠の技”記録アプリ」を開発し、年間1000時間の業務工数を削減した。経験者が持つノウハウを継承する機能と、現場の状況報告を効率化する機能を備える。プログラミング経験のない社員が、ノーコードのモバイルアプリ作成ツール「Platio」を使って2日で作成し、2021年12月から運用を開始した(画面1)。
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NTT東日本-南関東は、電気通信設備の構築・管理・保守業務を担う企業である。掘削工事への立ち合い業務では、電線や光ケーブルを埋設している管路の埋設位置を、工事業者に正確に伝える必要がある。しかし、道路の拡張など工事を繰り返した現場では、管路の埋設位置が図面と異なるケースがある。こうしたケースでは、熟練技術者が経験を生かして埋設位置を判定している。
熟練技術者のノウハウを伝承する方法は従来、熟練技術者から現場で聞いたポイントを帰社後にPowerPointに入力するなど、口頭による引き継ぎが中心だった。今回、効率をより高めるため、現場でノウハウを記録し、他の技術者と共有できるツールを開発した。
同アプリの使い方を紹介している。熟練技術者は、現場対応時の注意点を現場でスマートフォンに入力することで、他の技術者と共有するノウハウ集として活用。コメントに加えて撮影した現場写真やGPSの位置情報も記録する。図面と現場の道路状況が異なるケースでも、地図から過去の工事履歴を検索可能である。
技能の伝承だけでなく、工事状況の報告も現場で完了するようになった。従来はPowerPointに必要事項を記録するなどPCを使っていたが、スマホ入力だけで報告業務を完結できるようにした。これにより、1年間で1000時間の業務工数を削減したという。
今後は、地図データを軸に、立ち合いの指示や業務マニュアル、図面、工事履歴など、関連する情報を統合的に確認できるアプリケーションへと改善する予定である。