[調査・レポート]
会議議事録の需要拡大で、2021年度の音声認識製品市場は36.1％増の急成長─ITR
2022年8月26日(金)IT Leaders編集部
アイ・ティ・アール（ITR）は2022年8月25日、国内の音声認識市場における規模の推移と予測を発表した。主に人が話す言語をコンピュータで解析し、内容を文字データなどで取り出す処理を行う製品・サービスを対象に調査した。2021年度の同市場全体の売上金額は98億円で、前年度比36.1％増の急成長を遂げた。2026年度には300億円に迫ると予測している。
アイ・ティ・アール（ITR）は、国内の音声認識市場における規模の推移と予測を発表した。調査にあたって同市場を、「主に人が話す言語をコンピュータで解析し、その内容を文字データなどで取り出す処理を行う製品・サービス」と定義している。
調査によると、2021年度の音声認識市場全体の売上金額は98億円で、前年度比36.1％増の急成長を遂げた。2022年度は同26.5%増と、引き続き高い伸びをITRは見込んでいる。CAGR（2021～2026年度）は23.6%、2026年度には300億円に迫ると予測している（図1）。
図1：音声認識市場における規模の推移と予測（2020～2026年度予測）（出典：アイ・ティ・アール）拡大画像表示
「従来、音声認識は、コンタクトセンターを中心とした電話音声の文字起こしによる業務の自動化・省力化用途で導入が進んできた。近年は、社内外での会議や営業活動、人員の採用業務など、幅広い分野で導入が進んでいる。今後は、動物の鳴き声や各種機器の動作音による各種検知や分析といった用途の拡大も予想されている」（ITR）。
ITRは市場拡大の背景として、コロナ禍によって企業のさまざまな事業活動のオンライン化が進み、音声データの収集や録音が比較的容易となったことを挙げる。「主要ベンダーでは、単なる文字起こしにとどまらず、テキスト化したファイルから検索や各種分析、要約などの機能拡張を推進している。これにより、さらなる業務の効率化が期待でき、市場認知度が拡大している」（同社）。
また同社は、リモートワークの拡大でWeb会議や動画閲覧の機会が増加したことで、さまざまな社内業務や営業活動などでも活用されつつあることを指摘。「今後も、働き方の多様化が進む中、業務の実態を可視化・記録・共有することを目的とした導入が進む」と見ている。
今回の発表は、ITRの市場調査レポート「ITR Market View：AI市場2022」に基づいている。同レポートは、画像認識、音声認識、音声合成、テキスト・マイニング/ナレッジ活用、翻訳、検索・探索、時系列データ分析、機械学習プラットフォームのAI主要8市場と、これら8市場のAI-APIサービスを対象に、国内93ベンダーへの調査結果をまとめ、2020～2021年度売上げ実績および2026年度までの売上げ予測を掲載している。
