[調査・レポート]
AI投資の成果を阻む「定着」の壁、時間的損失は1人あたり年間51日─WalkMe調査
2026年7月1日(水)愛甲 峻(IT Leaders編集部)
多くの企業がAI活用による業務変革を目指して投資を増やす一方、AIやデジタルツールが現場に定着せず、従業員1人あたり年間で平均51日もの時間的損失が生じている──。こうした調査結果を、デジタルアダプション専業ベンダーのWalkMeが発表した。同社が2026年6月17日に開いた説明会では、グローバル調査結果を基に、AI活用をめぐって企業が抱える課題やその要因を解説。その打ち手として、同社の戦略や製品の新機能を紹介した。
AIに代表される高度なテクノロジーの導入が進む中、現場がうまく使いこなせず、期待した成果が上がらない──。説明会に登壇したWalkMe 代表取締役の野田亮氏(写真1)はこの理想と現実のギャップを「変革の負債」と呼んだ。デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)専業ベンダーである同社のミッションは、そうしたギャップの解消にあるという。
写真1:WalkMe 代表取締役の野田亮氏実際に、どのような課題がユーザーのAI活用や定着を阻んでいるのか。同社が発表した年次調査レポート「デジタルアダプションの状況2026」は、デジタルアダプションの観点から、AIを含むデジタルツールの活用をめぐる課題を分析している。同調査はグローバルで従業員1000人以上の組織に属する3750人を対象とし、WalkMeのプラットフォーム上の行動データと意識調査の結果を組み合わせて分析している。回答者のうち1700人は企業のテクノロジー戦略や意思決定を担うリーダーだ。
同調査によれば、デジタルトランスフォーメーション(DX)への投資は大きく増加している。平均支出は前年度比38%増の5420万米ドル(約88億円)で、AI関連はそのうち59%を占める。
一方で、回答者の40%がアダプション、つまり導入したテクノロジーの定着に課題を抱えている。また、AIを含むテクノロジーを使いこなせないことで発生する時間的損失は従業員1人あたり週に7.9時間、年間で51日に達するという。これは前年度比で42%高まっている(図1)。
図1:定着していないAIやデジタルツールが年平均で従業員1人あたり51日の時間的損失に(出典:WalkMe)拡大画像表示
WalkMe マーケティング本部 マーケティングマネージャーの前田貴昭氏(写真2)は、「従業員の生産性を高めるはずのテクノロジーが、実際には業務遂行を阻害する摩擦を発生させている。投資すればするほど、生産性が失われる状況だ」と指摘した。
調査は、提供されているAIをあえて使わず、“スキップ”する従業員が少なくないことも明らかにしている。複数のアプリケーションをまたがる複雑なタスクでは、その傾向がより顕著になるという(図2)。
図2:提供されているAIをあえて使わず”スキップ”する従業員の割合(出典:WalkMe)拡大画像表示
写真2:WalkMe マーケティング本部 マーケティングマネージャーの前田貴昭氏●Next:AI活用における“摩擦”の原因とは
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